安倍政権の経済政策「アベノミクス」の成否が、問われる1年になりそうだ。

 第2次安倍政権でアベノミクスが始まって4年が過ぎたが、デフレ脱却はまだ道半ばである。

 政権に歩調を合わせる日銀は昨年1月、マイナス金利という奇策を導入したが、効果は十分ではなく、金融政策には手詰まり感が漂う。

 そればかりか、日銀は2%の物価上昇目標の達成時期を「2017年度中」から「18年度ごろ」に先送りした。

 黒田東彦総裁は13年の就任時、2%目標を2年程度で達成すると宣言したはずだ。18年4月までの総裁任期中の実現を断念したのは、見通しの甘さを露呈するものである。

 確かに、年金受給など将来への不安から、依然として消費者の財布のひもは固く、デフレ脱却は容易ではない。

 だからこそ、安倍晋三首相は、「今こそアベノミクスのエンジンを最大限に吹かす」として、消費税率の10%への引き上げを2年半、再延期したのではないか。ここで有効な手だてを講じられなければ、アベノミクスは失敗だとの批判は免れまい。

 今年の日本経済の行方を占う上で、最も重要な鍵を握るのが、米国のトランプ新政権の動向である。

 昨年11月の大統領選で、大方の予想を覆してトランプ氏が勝利した後、株価は大幅に下落したが、間もなく反転した。米国の景気拡大への期待から円安が進み、株価は1万9000円台を回復するに至った。

 トランプ氏が掲げる大規模なインフラ投資や、法人税・所得税の減税という景気刺激策への期待感を、市場が反映したといえる。

 だが、新政権の政策はもろ刃の剣であり、注視しなければならない。トランプ氏が脱退の意向を示す環太平洋連携協定(TPP)が発効しなければ、安倍政権は成長戦略の柱を失うことになる。

 新政権が保護主義的傾向を強め、ドル安政策を発動すれば、大幅な円高となり、株価が急落する恐れもある。

 英国が欧州連合(EU)からの離脱を決めた余波が、他の加盟国にどう及ぶかも心配である。フランス大統領選などの結果によっては、金融、株式市場を揺さぶる「政治リスク」も生じそうだ。

 欧州各国で、移民問題を背景とした貧困層が増え、ポピュリスト(大衆迎合主義)政党が躍進し、EU懐疑派が台頭していることも気掛かりである。

 共同通信社が、主要企業108社を対象に行ったアンケートでは、今年の景気を「拡大」「緩やかに拡大」と予想する回答が計63社に上った。

 個人消費の回復や米国経済の改善に期待する一方で、米国の保護主義の拡大を不安視する声も多い。

 安倍首相はさまざまな国際的課題に対処しながら、デフレ脱却と経済再生に道筋をつけなければならない。