国際化、情報化が進む現代社会に生きる力を、どう身に付けるか。選挙権年齢の引き下げへの対応も必要だ。

 中教審が文部科学相に答申した次期学習指導要領の改定案は、そうした課題に応えようとしたものである。

 児童生徒が主体的に学び、自ら考える姿勢を重視するなど、打ち出した理念には賛同できる。

 大切なのは、盛りだくさんの内容を実りあるものにする教育現場の取り組みであり、その環境を整備することだ。政府や自治体は学校、教員を支援する態勢をしっかりと構築してもらいたい。

 指導要領は、小中高校で教える最低限の学習内容を決めた基準で、ほぼ10年ごとに改定を重ねている。今回の改定は2020年度から順次、全面実施する。

 答申は、見直しに当たって必要な視点として「何ができるようになるか」「どのように学ぶか」「子供一人一人の発達をどのように支援するか」などを挙げた。

 一部で行われている「アクティブ・ラーニング」を全教科に導入することも求めた。教師が一方的に教えるのではなく、児童生徒が主体的・能動的に授業に参加する方式で、答申の目玉の一つだ。

 科目の改定では、高校に主権者教育に対応する「公共」や、日本と世界の近現代史を中心とした「歴史総合」などを、必修として新設する。

 小学校では、5、6年で実施している英語の「聞く・話す」を3、4年に前倒しし、5、6年は「読む・書く」の要素を加えて正式な教科にすることにした。中学校の英語の授業は、原則として英語で行う。

 情報技術を学ぶプログラミング教育を、小中高校で必修化させるのも特徴だ。

 いずれも時代に即した改定と言えるが、高校の「公共」は現実の政治や社会問題を扱うだけに、授業には入念な準備が欠かせない。小学校では英語の指導に不安を抱く教員が多い上、3~6年の各学年で年間35こまも増える。

 さらに、アクティブ・ラーニングは進め方が具体的に定められておらず、現場での創意工夫が求められよう。

 他教科の学習内容や授業時間数は減らさない。このため、教員の多忙さに拍車が掛かるのは必至だ。

 中教審は次期指導要領の実施に向けて、教員定数の拡充や情報通信技術(ICT)の活用など、環境整備が重要だと提言した。当然である。

 前回の改定で「脱ゆとり」路線に転じ、学習内容が大幅に増えた際、政府は十分に対応しなかった。それが、現在の余裕のない教育現場につながっている。

 教員や外国語指導助手(ALT)の確保はもちろん、研修の充実、教材の開発など、政府がやるべきことは多い。自治体も、学校での事務処理や部活動の指導など、教員の負担軽減策を講じなければならない。