徳島県内では今年、任期満了に伴う首長選が11市町、議員選が4市町で行われる。

 懸念されるのは、無投票と低投票率である。

 皮切りとなった小松島市長選は、無投票で現職が再選された。このほか7市町の首長選で現職以外の候補者を擁立する動きは見られず、無投票の可能性がある。

 議員選も、那賀町は定数を削減したにもかかわらず、選挙戦になるかどうか微妙な情勢だ。

 4年前は12首長選のうち7市町で、4議員選のうち那賀町議選で無投票となった。選挙戦になった5首長選と3議員選でも、2市長選以外は投票率が低下した。

 こうした傾向は全国的に強まっており、一昨年の統一地方選では、道府県議と町村議のいずれも22%が無投票で当選した。このままでは民主主義を支える選挙が形骸化してしまう恐れがある。

 地方選で無投票が増える背景には、少子高齢化や人口減少に伴う候補者不足があるとみられている。自民党は地方議員のなり手不足を解消するため、現行で「25歳以上」となっている被選挙権の年齢を引き下げる方向で本格検討に入った。

 那賀、北島両町議会は議員報酬を増額することを検討している。那賀町議会は35歳以下の議員に、さらに上積みする案を考えている。

 ただ、これらの案が抜本的な対策になるかどうかは疑問である。そもそも、住民が地域の政治や行政に関心を向けなくなったことが要因ではないか。

 住民の無関心は、首長と議員から緊張感を奪い、地方自治の危機を招いているとも言えよう。

 13人が辞職する異常事態となった富山市議会などの政務活動費不正問題は、それを露呈したものだ。

 徳島県内では昨年、神山町長が徳島新聞記者の取材を拒否するよう全町職員と教員に指示し、知る権利を侵害する問題が起きた。

 阿波市議がうその届け出をして市議会本会議を欠席し、ネパール旅行をしていたことも発覚した。

 こうした状況に住民はさらに不信を募らせ、選挙から遠ざかっていく。まさに負のスパイラルである。悪循環を断ち切らなければならない。

 肝心なのは、住民が自分たちの地域の将来を考えることだ。そうすれば選挙に対する意識が変わり、住民の思いに応えようと立候補する人も出てくるのではないか。

 一昨年11月の佐那河内村長選では、広域ごみ処理施設の建設が大きな争点となり、投票率は前回を8・17ポイント上回る90・44%になった。

 昨年3月の徳島市長選は新町西地区再開発事業を巡って論議を呼び、投票率は前回から20・06ポイントも上昇した。

 住民が問題意識を持つことによって選挙の様相は大きく変わる。選挙を通して地域の在り方を考える年にしたい。