開幕まで500日を切ったこの時期に、東京五輪を開催する国内委員会のトップが退くことになった。憂慮すべき事態であり、大会への影響が懸念される。関係機関や指導者らは選手たちの不安の払拭に努めるとともに、着実に準備を整えてもらいたい。

 東京五輪招致に尽力した日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長が理事会で、任期満了となる6月に退任し、国際オリンピック委員会(IOC)委員も辞任することを表明した。

 竹田氏は、招致を巡る贈賄の疑いでフランス司法当局の捜査対象となっている。国内外から疑惑の目を向けられ、「清廉」をアピールする東京五輪のイメージも著しく失墜させた。責任の重大さを考えれば、退任は当然だろう。

 竹田氏は招致疑惑に関し、退任との関連を否定した上で「不正なことはしていない。潔白を証明すべく今後も努力していきたい」と述べた。退任によって招致疑惑が晴れるわけではない。改めて説明責任が求められる。

 解せないのは、退任時期を先送りしたことだ。

 任期途中で辞任すれば贈賄を認めたと受け止められる恐れがあるからだという。とはいえ退任までの3カ月、求心力の低下は目に見えており、組織の長として十分な運営ができるとは思えない。

 既にこの問題で、国際会議を欠席するなど活動に支障が出ている。組織委や国のスポーツ関連会議などでも積極的な活動は難しくなろう。

 竹田氏は「次代を担う若いリーダーにJOCを託し新しい時代を切り開いてもらう」と、退任理由を述べた。

 JOCにとっての当面の最大の責務は、東京大会を成功させることだ。残された時間は少ない。早期に新体制を発足させ、一丸となって取り組むことが肝要ではないか。

 「竹田体制」は10期18年に及んでいる。それでも続投は既定路線だったようだが、1月に不正疑惑が再燃して情勢は一変した。

 竹田氏は、一貫して潔白を主張しながら、その後の記者会見では質問を受け付けなかったため、国内外から批判を浴びた。

 さらに、JOCは竹田氏が東京大会まで会長にとどまる意向を示しているとして、定年規定の変更などを急いだという。

 内向きの論理を重視するJOCの体質が、竹田氏を退任に追い込んだ一因でもある。

 昨年、各競技団体でさまざまな不祥事が相次ぎ、ガバナンス(組織統治)の欠如が指摘された。JOCはスポーツ界を代表する団体であり、指導的な立場にあるはずだが、そうした意識が感じられないのは残念だ。

 招致活動にはJOC幹部や東京都、国も関与しており、竹田氏一人の責任ではない。JOCが疑惑への説明を尽くさなければ、東京大会は負の要素だけがクローズアップされることになりかねない。