天皇陛下の退位を巡る政府の有識者会議が、議論の中間まとめとなる論点整理を公表した。

 退位を容認する積極的意見を明記した上で「陛下一代限り」が妥当だという立場をにじませている。

 政府が検討する一代限りの特別法での対応に沿う内容になっているが、国会で論議を深め、国民が納得する結論を得なければならない。

 論点整理では、有識者会議の議論や専門家からのヒアリング結果を踏まえて、退位の是非などを論点ごとに、「積極的に進めるべきとの意見」と「課題」を併記した。

 退位に関しては、現在の陛下の健康や心労を考慮すべきだとの指摘に加え、「退位が陛下の意思に反していないことが推察され、退位に伴う弊害を心配する必要はない」などの積極的見解も紹介した。

 恒久制度化と一代限りを巡る記載は対照的である。

 恒久制度化には「天皇の意思に基づく退位を可能とすれば、憲法が禁止している国政に関する権能を天皇に与えたことになる」など23件もの課題を列挙した。これに対して、積極的意見は「高齢を要件とすれば恣意的な退位を避け、退位の客観性を確保することができる」など10件だ。

 一方、一代限りの課題については「時の政権による恣意的な運用も可能になる」など3件の記載にとどめた。

 恒久制度化には問題が多いことを強調した格好だ。

 退位を認める場合の皇室典範改正や特別法制定など、法の形式には言及していない。

 本来、皇位継承に関わる問題は、皇室典範の改正で対応するのが筋である。

 だが、政府は、陛下の83歳という年齢も踏まえ、一代限りとする特別法の整備を進める構えだ。女系天皇など皇位継承権の在り方も含めた広範な議論を回避する狙いもうかがえる。

 民進党は、退位には皇室典範の改正が必要だとの立場である。

 衆参両院の正副議長が3月上中旬をめどに与野党の意見を集約する異例の手法を取るが、特別法の整備に向けて幅広い賛同を得られるかどうかは予断を許さない。

 皇位継承を「皇室典範」で定めるとした憲法2条を巡っては、典範とは別の特別法で退位を定めるのは違憲だとの指摘もある。このため、政府は典範の付則に根拠規定を置く特別法も選択肢の一つとして視野に入れているようだ。

 政府は、有識者会議が春にまとめる最終提言を踏まえて、国会に特別法案を提出する方向だ。

 退位後の活動や呼称、身分も重要な検討課題である。上皇とする場合には、天皇との併存によって、権威が二元化した歴史を踏まえた対応が必要だ。

 国会は政府の方針を追認するのではなく、安定した皇位継承の在り方を含め、皇室と国民の未来のために開かれた論議を重ねてもらいたい。