大相撲の横綱に稀勢の里が名を連ねることになった。喜ばしいことである。

 地道な努力を続けるとともに、ここ一番での弱さも克服し初場所で初優勝した。最高位にふさわしい活躍を期待したい。

 初場所では、正念場の終盤戦にぶつかるはずだった2横綱と1大関が相次いで休場したこともあり、昇進には慎重論もあった。しかし、昨年は年間最多勝に輝くなど安定感は申し分なく、「横綱相撲」ともいえる内容も多かった。横綱審議委員会で異論がなかったのは、もっともである。

 立ち合いの変化に頼らず、小細工無用の真っ向勝負が持ち味であり、それが魅力だ。15年の土俵人生で休場はたった1日だけだという。これからも、後に続く力士たちのいい手本になってほしい。

 実に19年ぶりとなる日本出身横綱の誕生である。

 八角理事長(元横綱北勝海)が「横綱という地位は逃げる場所がない。精神的に強くないといけない」と言うように、横綱には、相撲界をけん引していく重い責任がある。

 それをよく分かっているのだろう。昇進の伝達式で「謹んでお受け致します。横綱の名に恥じぬよう精進致します」と口上を述べた。奇をてらわない稀勢の里らしさもにじんでいた。

 大相撲は不祥事が相次ぎ、一時人気が低迷した。だが、昨年は年間90日で88度の満員御礼を記録し、初場所は15日間とも満員札止めだった。ファンの期待が大きいことを忘れないでもらいたい。