不正会計問題で経営再建中の東芝が、米国の原発事業で最大7千億円規模の損失を出す見込みになった。

 経営圧迫は必至で、日本を代表する企業がどのような形で事業を継続するのか、先行きが懸念される状況である。

 損失が生じたのは、米国のグループ会社「CB&Iストーン&ウェブスター(S&W)」が建設中の新型加圧水型原子炉「AP1000」4基を巡ってだ。米国の規制強化で設備費用や人件費が増大。資産価値は想定を大きく下回ることが判明した。

 東芝が、米原子力子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)を通じて、S&Wを買収したのは2015年末。不正会計や大規模なリストラで混乱していた頃だ。

 買収はWHの経営戦略上の判断だったが、資産内容の調査が甘かった可能性が高い。

 巨大原発プロジェクトは、追加損失を生む恐れもある。

 東芝は買収の経緯などを詳細に検証し、説明すべきだ。有効な対応策も取らなければならない。

 不正会計問題で東芝は、白物家電や医療機器など主力の事業を次々に売却した。

 残る原発と半導体は再建計画の中核事業だ。原発は、政府の新興国向け輸出に力を入れる戦略を背景に、成長が期待されていた。

 その矢先に今回の事態を招いたのは、東芝にとって誤算であり、大きな打撃だ。

 東芝は原発事業を見直す方針だ。海外での受注は慎重に見極め、国内は廃炉や保守を中心に据えて安定した収益の確保を目指す。

 銀行団は協調融資を継続する方向であり、東芝は資本の増強策を含めた財務の立て直しを急がなければならない。

 東芝は、好調な半導体の主力製品の「フラッシュメモリー」事業の分社化も決定した。入札で株式の20%未満を売却することで、2千億~3千億円の調達を見込む。

 投資ファンドや、政府系の日本政策投資銀行を含む金融機関、キヤノンなどが出資の候補に挙がっている。

 ただ、半導体は巨額の利益を生み出す「虎の子」の事業である。株式の売却益で急場をしのぐようでは、先細りになる不安は拭えない。

 ほかに上場企業株式や不動産など保有資産も売却する。

 東芝は17年3月期に純損益の黒字を見込んでいたが、巨額損失で大幅な赤字に陥り、財務が危機的な状況になる懸念がある。

 大規模なリストラ後も、グループで約19万人の従業員を抱える巨大企業である。多数の取引先の連鎖倒産を防ぎ、雇用を守るために、経営再建を軌道に乗せる必要がある。

 海外企業に身売りした場合、安全保障に関わる原発の技術が流出しかねないという問題も抱える。優秀な技術者が研究成果と共に海外に流出すれば、日本企業の競争力低下を招くだろう。

 知恵を絞り、再生に道筋をつけることが大事だ。