2017年春闘が事実上スタートした。

 今回も安倍晋三首相が経済界に賃上げを要請しており、4年連続の「官製春闘」となる。

 経済政策アベノミクスが失速する中、賃上げで経済の好循環を生み出したいとの狙いだ。

 政権の思惑はともかく、賃上げが必要との認識では労使とも一致している。各企業は経営状況に応じて、できる限り利益を従業員に還元してもらいたい。

 焦点は賃上げの方法である。

 経団連は定期昇給やベースアップ(ベア)、賞与・一時金などを含めた「年収ベース」での賃上げを提案し、連合はベアが不可欠だとしている。

 賃金水準を一律に引き上げるベアは、恒常的な人件費増につながる。経営側がベアに慎重なのは、トランプ米政権の発足など、世界経済の先行きが不透明さを増しているからだろう。

 だが、景気に左右される一時金の増額だけでは、消費意欲を高める効果が薄い。経済界はその点を十分に考慮すべきだ。

 もう一つの焦点は、長時間労働の是正をはじめとする働き方改革である。

 電通社員の過労自殺をきっかけに、ようやく過重労働の弊害に目が向けられ始めた。中身のある是正策を見いだしていくことが大切だ。

 徳島県内では、来月から労使交渉が本格化する。働き方の見直しや、県内企業のほとんどを占める中小・零細の賃金の底上げ、非正規社員の待遇改善など課題は多い。

 実りある春闘にしなければならない。