徳島市は、新町西地区再開発事業の中核に位置づけられていた音楽・芸術ホールに代わる施設の建設候補地として三つの案を発表した。

 遠藤彰良市長は、3月末にも建設地を決める意向を示しており、第三者による検討委員会を近く立ち上げる。

 それぞれの長所、短所をしっかりと検討し、県民、市民が納得できる結論を導いてもらいたい。

 再開発事業では1530席と300席の大小二つのホールを整備する計画だったが、遠藤市長が事業の白紙撤回を宣言した。このため、市は2023年度の新ホール開館を目指して計画策定の準備を急ピッチで進めている。

 市文化センターが15年3月末で閉館し、多くの文化団体が市外のホール利用や公演の平日開催を余儀なくされており、新ホールの早期整備を求める声が高まっている。子どもたちに優れた文化環境を提供するためにも、いつまでも放置できない。

 もとより、整備を急ぐ必要はあるが、中途半端な施設にしてはならない。

 示された3案は▽JR徳島駅西側の平面駐車場を中心とした土地(寺島本町西1)▽文化センター敷地(徳島町城内)▽市立動物園跡地(中徳島町2)。遠藤市長はこの3カ所のメリットとして、市中心部にあり、徳島駅から徒歩圏内にあることを挙げる。

 しかし、徳島駅西側の土地と文化センター敷地はそれぞれ4866平方メートル、4538平方メートルと狭い。しかも、徳島駅西側はJR四国などから土地を購入するか賃借しなければならず、コストがかさむ恐れがある。

 動物園跡地は1万8879平方メートルと広く、過去には1800席の大ホールと300席の小ホールを造る構想があった。課題は、市の都市計画に基づく「第一種住居地域」に指定されているため、都市計画法に基づく変更手続きが必要になることだ。

 市が、新ホール建設に動いたのは1991年にさかのぼる。当時の市の有識者会議が優れた音楽ホールや劇場が市内に足りないと指摘し、本格的な施設整備の必要性を提言した。

 だが、建設地や施設の規模を巡って計画は四半世紀も迷走してきた。

 最大の要因は、市当局がホールに対して明確な理念やビジョンを持っていなかったからではないか。

 遠藤市長に確たる考えはあるのだろうか。昨秋開かれた有識者会議の委員からは「何のプランもないまま、何かしなければならないから会議を開いたように感じられた」との声が上がった。

 市は費用を気にし過ぎるとの指摘もあった。確かに再開発事業のホール整備費の156億円を超えると、事業を白紙にする意味が問われよう。

 コスト削減は大切だが、県都にふさわしく、次世代の財産となるようなホールを造らなければならない。