鳴門生まれのコウノトリが大空に羽ばたく日が、今から待ち遠しい。

 鳴門市大麻町の電柱に巣を作ったペアに、待望のひなが誕生した。徳島県や市、地元住民などでつくるコウノトリ定着推進連絡協議会が、ひな1羽の姿を確認した。

 国内の野生のコウノトリは1971年に絶滅してしまい、2005年から兵庫県豊岡市の県立コウノトリの郷(さと)公園が放鳥を始めた。野外でひなが生まれたのは豊岡市とその周辺以外では初めてだ。

 歴史に刻まれる快挙であり、県民はもちろん、全国の人たちにとっても大きな喜びである。

 親鳥は巣で、ひなに餌を与えるためにくちばしから吐き出す行動を見せている。協議会が最初の1羽を確認した後も、ひなは連日姿を現し、きのうまでに3羽となった。

 ひながすくすくと育つことを祈る。無事に巣立たせるためには、温かく見守ることが大切である。

 協議会は、巣から半径400メートル以内での撮影や観察の自粛を呼び掛けている。興味本位で巣に近づいて子育ての邪魔をしないよう、家庭や学校で子どもに周知徹底を図ってほしい。

 2羽のコウノトリが鳴門に飛来したのは15年2月末だった。その後、台風で巣が飛ばされたり、せっかく産んだ卵をカラスに奪われたりするなど、苦難も味わった。

 今度こそ繁殖を成功させたいものだ。将来、鳴門もコウノトリの古里になれば。そんな夢も膨らんでくる。