美馬、三好両市とつるぎ、東みよし両町の「にし阿波の傾斜地農耕システム」が日本農業遺産に認定され、世界農業遺産の国内候補地に選ばれた。念願の世界農業遺産認定へさらに機運を高めることが大切だ。

 剣山系は土地がやせており、斜度が30度を超える急斜面が多く、とても農業はできそうにない。それを可能にしたのが地域独特の農法である。

 土にカヤを混ぜて土壌流出を防ぎ、「サラエ」と呼ばれる6本刃のくわで土をかき上げる。カヤを円すい状に束ねて肥料や飼料として保存する「コエグロ」は冬の風物詩だ。

 世界農業遺産認定への取り組みは、こうした先人たちの知恵と工夫が宿る農業を見つめ直す契機となった。住民が、途絶えつつある雑穀の栽培に乗り出すなどの波及効果も生んでいる。

 2市2町が最初に農林水産省に申請をしたのは2014年。住民の盛り上がりがいまひとつで、カヤの効果により、どんな生物が生息しているのか調査が不十分だったとして落選した。

 今回は、地元でたびたびシンポジウムを開いたり、農業体験を受け入れたりするなど、活発な取り組みによって住民の関心を高めた。2年がかりで生物の生息状況を調べてリスト化したことも奏功したといえる。

 農水省から認定に向けて求められているのは、急傾斜地農法の歴史の検証と分かりやすい解説、景観の保全である。

 地域住民が一体となって、これらの課題をクリアしてもらいたい。