早発閉経などの病気で自分の卵子がない女性が、匿名の第三者から卵子の無償提供を受けて妊娠し、1月に出産した。

 卵子提供を仲介した神戸市のNPO法人によると、国内初とされる今回の事例以外にも、別の女性から卵子の提供を受けた2人が妊娠中で、年内にも出産するという。

 日本国内で第三者から卵子の提供が受けられる環境を早く整えてほしい。病気のため子どもに恵まれず悩んでいる当事者らは、そう願っているだろう。

 ただ現行の民法は、卵子提供などの生殖補助医療を想定していない。生まれた子どもと親の関係については、産んだ女性を母とする判例があるだけだ。

 法整備を巡っては、自民党の部会が昨年、卵子の提供を受けて子どもを産んだ女性を母とする民法の特別法案をまとめたものの、国会提出に至っていないのが実情だ。卵子や精子、受精卵の売買を禁じる法律も整っていない。

 将来起こり得るトラブルを考えると、親子の関係を明確に規定したり、生まれた子どもに出自を知る権利を保障したりする法律がないまま、現実が先行していくのは問題だ。

 卵子を提供した女性の個人情報などをしっかりと管理する仕組みの構築も必要である。

 いずれにせよ、生命倫理や家族観に絡んだ極めて重要な課題である。卵子提供の普及・定着に向けては、国民の理解が欠かせない。生まれてくる子どものためにも、政府は国民的議論を喚起しながら、適切に対応していかなければならない。