遺族補償年金を受給する際、男性だけに年齢制限があるのは法の下の平等を定めた憲法に違反するのではないか―。

 半世紀前の1967年にできた年金受給要件の男女差規定を巡り、最高裁は「男女間の賃金格差などを考慮すると、女性に手厚い規定には合理性がある」として合憲と認めた。

 男女の働く環境が平等なのかと問われると、いまだ改善途上にあると言わざるを得ない。とはいえ、現状の男女差を追認するだけでは、「女性活躍」社会の実現に向けた取り組みに支障を及ぼさないか心配だ。

 一審の大阪地裁は、女性の社会進出や共働き世帯の増加など法制定時から社会情勢が変化していることを重視し、男女差規定は違憲で無効とした。

 親を亡くした家庭に支給される遺族基礎年金は、母子家庭と父子家庭で異なっていた扱いが既に改められている。そうした動きを踏まえると、「性別だけで受給権を分けることに合理性がない」とした一審判決は納得できるものだ。

 しかし、二審大阪高裁は「妻が独力で生計を維持できなくなる可能性はなお高い」として原告の逆転敗訴とした。

 最高裁判決には、社会環境が整う前に規定を変えると、不利益を受ける人が出てしまうとの配慮もあったのだろう。

 ただ、女性の活躍推進なくして日本経済の持続的発展は難しい。最高裁判決はあくまで現時点での結論だと捉え、国は男女差を解消する環境整備を着実に進めていく必要がある。