洗えば洗うほど色がさえる藍には、日本人の心を引き込む独特の深みがある。そんな藍は徳島県伝統の特産品であり、私たち県民の誇りだ。
 
 2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムに藍色が使用されたのは、阿波藍をPRする絶好のチャンスである。認知度を高めて需要を喚起し、藍産業の発展につなげることが大切だ。
 
 徳島経済同友会は、「藍で徳島を盛り上げる研究会」の議論を踏まえて、藍の活用を通じて地域振興を図る提案書をまとめ、飯泉嘉門知事に提出した。さまざまな示唆に富んだ内容である。
 
 提案の一つは、藍を徳島県の象徴とするために「徳島ブルー」を県のシンボルカラーに制定しようというものだ。建築物への使用に補助金を出すことも選択肢に挙げた。
 
 ほかに、徳島が藍の本場であることを国内外にアピールする藍サミットの開催や、東京大会のメダルの首掛けリボンに藍を使うというプランも提案している。
 
 いずれも、実現すればかなりの効果が期待できる。中でも、世界中の注目を集めるメダルのリボンに藍を使うインパクトは大きい。県は関係団体と協議して、具体化への道を探ってはどうか。
 
 県が藍の情報発信に活用するロゴマークとデザインを作ったのも時宜を得ている。
 
 東京大会のエンブレムをデザインしたアーティスト野老(ところ)朝雄氏が制作した。ロゴは藍色を下地に「藍」の一字を白で表現。伝統文様の青海波(せいがいは)がモチーフのデザイン「組藍海波紋(くみあいがいはもん)」には鳴門の渦潮や祖谷の雲などのイメージを取り入れている。
 
 味わいのある作品は、東京大会のエンブレムと響き合うのではないか。
 
 東京五輪開会日の7月24日を「とくしま藍の日」とする県条例も制定された。7月をとくしま藍推進月間とし、藍の魅力を発信する。
 
 県は、職員が使う名札や名刺、封筒に、藍色と白を基調にした県のブランド戦略の共通コンセプト「vs東京」のロゴを刷り込んでいる。
 
 近年、藍染の木工品など新製品の展示会も東京で開かれており、藍を見直し売り出す試みは広がりつつある。
 
 藍住や石井など吉野川流域の8市町は、本県の藍染の歴史や文化を国内外の観光客らに発信しようと、阿波藍の栽培技術や文化財などを「日本遺産」に申請した。
 
 残念なのは、藍染の染料すくもの県内一の産地である上板町が申請に加わらなかったことだ。町長と職員の連絡調整が不十分だったようだ。町は藍産業の振興を図る「ジャパンブループロジェクト」を推進しているだけに、他の自治体との連携にも、気を配るべきだった。広域的で一体の取り組みを重視してほしい。
 
 徳島の財産である藍作りは根気のいる作業で、先祖の知恵がこもる。脈々と受け継がれてきた阿波藍にもう一度光を当て、未来を開きたい。