東京電力ホールディングス(HD)が、新たな経営再建計画となる「新々総合特別事業計画」の骨子を公表した。
 
 コスト削減や収益力向上に取り組んで、福島第1原発事故を巡る賠償や廃炉の費用を確保するのが狙いだ。
 
 従来の2倍の約22兆円に膨らんだ費用のうち、東電は約16兆円を負担する。支払いには30年程度を要する見込みで、年間約5千億円の資金の確保を掲げている。

 今度こそ、再建計画を軌道に乗せなければならない。

 東電は、原発事業と送配電事業で他の電力会社との再編・統合を目指している。

 だが、計画が順調に進むかどうかは予断を許さない。

 東電との協力を巡って、他の電力会社には収益が賠償費用などに充当されるという警戒感が強いためだ。

 計画が頓挫すれば、一層の公的支援が必要になり、国民の負担につながる。東電への批判が高まるのは必至で、信頼の回復などおぼつかない。

 政府は首脳人事の刷新を決めた。新会長には、日立製作所名誉会長の川村隆氏が就く。骨子のベースとなる提言をした東電改革の有識者会議の委員で、日立製作所の再建でも手腕を発揮した。

 きのうの会見で、川村氏は福島原発事故に関連して「加害者としての責任を果たすため資金のめどをつけることが大事。今までと違うレベルの改革が要る」と述べた。

 その決意をしっかりと実行に移してほしい。

 というのも、隠蔽(いんぺい)体質が再び批判を呼んでいるからだ。

 新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働を目指す東電は今回、他の電力会社の協力を積極的に要請するとした。

 ところが、原子力規制委員会の6、7号機の審査で、東電が免震重要棟の耐震性不足を示す試算を3年前に把握しながら、報告しなかったことが分かった。

 その対応が、地元や規制委の不信を招いたのは言うまでもない。

 規制委は、東電に審査申請書の出し直しを要請したが、膨大な関係資料の確認が必要で、提出時期は見通せない。

 進展が見込めるのは、中部電力との火力発電事業の完全統合である。

 中部電は、東電と火力・燃料の共同運営会社の「JERA(ジェラ)」を設立している。火力発電事業を移した場合には、利益の多くが事故対応費に充てられることを警戒していたが、交渉で懸念が和らいだもようだ。

 両社は基本合意し、2019年度前半をめどにJERAに既存の国内火力事業を統合する。これで火力の発電規模は世界トップクラスとなる。一体運営によってどれだけ発電コストが削減できるかが問われよう。

 政府が今年3月末を想定していた脱国有化の判断は、19年度に先送りされた。

 被災者らと真摯(しんし)に向き合いながら、福島の再生に力を尽くすよう求める。