冷え込んだ日韓関係を改善する契機にすべきだ。

 政府は、長嶺安政駐韓大使をソウルに帰任させた。釜山の日本総領事館前の慰安婦少女像設置に対抗する大使の一時帰国は、約3カ月で終わった。

 少女像撤去の見通しは立っていないが、長嶺氏には新政権の誕生に備えた現地での情報収集などの任務がある。北朝鮮は核・ミサイル開発の動きを加速させており、安全保障上の観点からも一時帰国を長引かせるのは得策ではない。

 韓国では、前大統領の朴槿恵(パククネ)容疑者が収賄容疑などで逮捕され、混迷から抜け出せない状況が続いている。

 韓国が少女像問題の解決に努力するとした日韓合意の順守を、長嶺氏が次期政権に引き継ぐよう黄教安(ファンギョアン)大統領代行(首相)に求めるのは当然である。

 大統領選は、最有力候補と目される最大野党「共に民主党」の文在寅(ムンジェイン)前代表と、追い上げる中道野党「国民の党」の安哲秀(アンチョルス)元共同代表の対決となる公算が大きくなった。

 対日強硬派とされる文氏は日韓合意の見直しを主張している。長嶺氏は文氏との接触を模索する。次期政権へのパイプ作りを通じて日韓外交の悪化を未然に防ぐことが重要だ。

 政権が交代しても合意を履行する義務があるのをよく認識すべきだ。

 遺憾なのは、韓国で慰安婦問題を象徴する少女像が相次いで設置されていることである。

 韓国は未来志向で解決策を探ってほしい。