2度の震度7が襲った熊本地震は、最初の激震から1年を迎えた。

 地震による直接の犠牲者は50人である。避難中に、体調を崩して亡くなった「震災関連死」などを合わせると、死者数は225人に上る。

 家族や親しい人を失った悲しみ、人生を突然断たれた人たちの思いはいかばかりか。地震が突き付けた問題と向き合い、普段の備えに生かしていくことが大切だ。

 急がれるのは、交通インフラの整備である。国道57号をはじめ、阿蘇大橋、JR豊肥線など熊本市と阿蘇地域を結ぶ交通網は不通のままだ。

 大動脈が復旧すれば不便が解消されるばかりでなく、被災地の一つの希望の灯になる。観光客を呼び戻す力にもなるだろう。国は自治体とともに、早期の復旧、復興に道筋をつけなければならない。

 仮設住宅は4300戸余りが整備され、現在約1万1千人が入居している。しかし、住まい再建の見通しがつかない人は多い。特に、古里で住み続けたいという高齢者にとっては難題である。

 災害公営住宅の整備を急ぐと同時に、被災者への息の長い支援が求められよう。

 大きな被害を受けた場合、問題となるのは仮設住宅の立地場所だ。公有地で亀裂などの被害が起これば、確保は難しくなる。

 想定した避難所が被災することもある。被害が大きければ、避難者の数が膨れ上がるのは当然である。徳島県内でも、仮設住宅や避難所の場所、収容可能な人数などについて、いま一度、点検しておくことが重要だ。

 地震後に、警察や消防が救助活動を行った111の現場からは、被災者のさまざまな状況が明らかになった。

 建物が倒壊したのは48の現場で、いずれも木造だった。警察が主導した39の現場では、全て1階部分が崩壊し、生存もしくは心肺停止で運び出した60人のうち、60歳以上が7割を占めたという。

 建物の1階を生活の拠点としている高齢者が被害に遭う傾向を示したものだ。このデータを十分に共有し、これからの救助活動に役立てたい。

 注目しなければならないのは震災関連死だ。今回認定されたケースは、熊本、大分両県で0歳から100歳代の男女170人に上り、このうち車中泊を経た後に死亡した人が少なくとも41人に及ぶ。

 エコノミークラス症候群が疑われる人も6人いる。これは2004年の新潟中越地震以来、大地震が起きるたびに問題となってきた。余震が続けば、自宅の倒壊を恐れ、車中泊を続ける人も増える。健康リスクへの注意を怠ってはなるまい。

 地震に限らず、災害は繰り返し起きている。誰がいつ被災者になるか分からない。熊本地震の教訓を踏まえ、自らの命をどう守っていくか。国や自治体は、防災計画をいかに改善していくのか。しっかりと考えなければならない。