北朝鮮情勢が緊迫の度を増してきた。

 きょうは、朝鮮人民軍創建85年の節目に当たる。北朝鮮が6回目の核実験や、弾道ミサイルの発射を強行する恐れがあり、警戒が必要だ。

 懸念されるのは、米国と北朝鮮の軍事衝突が現実のものになることである。そうなれば、日本もミサイル攻撃を受ける危険があり、甚大な被害が予想される。

 北朝鮮は厳に挑発行為を慎むべきだ。米国にも慎重な対応を求めたい。外交による平和解決を目指すことが、何よりも重要である。

 北朝鮮北東部・豊渓里(プンゲリ)にある核実験場の動きが気掛かりだ。韓国のテレビは情報筋の話として、核実験場付近の住民らを退避させた可能性があると伝えた。

 トランプ米政権は、軍事力行使も含めて「あらゆる選択肢」を排除しないと警告している。ただ、北朝鮮の挑発に対して「レッドライン(越えてはならない一線)を引かない」としており、軍事行動などに踏み切る基準は明確にしていない。

 米国は「紛争や北朝鮮の体制転換を求めているわけではない」との立場であり、対話による外交解決の道は残されている。

 トランプ氏は中国の習近平国家主席の役割にも期待しているようだ。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長に核実験を思いとどまらせるよう、影響力を行使してほしい。

 国連安全保障理事会は、北朝鮮に核実験の自制を求め、核・ミサイル開発を継続すれば「制裁を含むさらなる重大な措置を取る」としている。核実験を行えば孤立化を深めることを、北朝鮮はよく認識すべきだ。

 朝鮮半島近海に向かっている米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする空母打撃群と、海上自衛隊の護衛艦は西太平洋で、共同訓練を開始した。

 数日間にわたって、艦船の陣形を確認する戦術や通信の訓練などを実施する。空母打撃群は訓練の終了後、月内に朝鮮半島周辺に展開する見通しだ。

 空母を威嚇する言動を繰り返している北朝鮮がさらに反発するのは必至で、一触即発の恐れもある。

 有事の場合には、日本は安全保障関連法に基づいて事態を認定し、米国と共同対処することになろう。

 日米が緊密に協力するのは当然だが、自衛隊の活動には憲法上の制約があるのも忘れてはならない。

 きのう、安倍晋三首相はトランプ氏との電話会談を行った。会談後、首相は「米国と緊密に連携し、高度な警戒監視態勢を維持し、わが国として毅然(きぜん)として対応していく」と述べた。

 日米韓3カ国は結束して対処するため、近く外相会談を開く方向だ。安保理と共に対北朝鮮包囲網の構築に全力を挙げ、衝突を未然に防ぐことが大切である。