徳島市の遠藤彰良市長が就任から1年を迎えた。

 政治経験はなかったが、元民放アナウンサーとしての知名度と発信力を生かし、市民感覚を前面に打ち出した市政運営を進めてきた。その姿勢は一定の評価ができる。

 一方で、山積する懸案事項の多くは進展が見られない。2年目は解決の道筋をつける実行力が問われよう。

 大きな課題の一つが中心市街地の活性化である。

 遠藤氏は、市長選で最大の争点となった新町西地区再開発事業を白紙に戻すとともに、昨年11月に代替案として「商業・業務施設とマンション」「子育て世代向け住宅と高齢者向け住宅」の2案を民間主導で整備する方針を打ち出した。

 しかし、その後は全く動きがない。2017年度当初予算にも関連予算は盛り込まれなかった。遠藤氏は事業主体の再開発組合と係争中であることを理由に挙げている。

 徳島地裁の判決は今夏にも出る見通しだが、上訴して争えば確定までに何年もかかる可能性がある。

 中心市街地活性化は重要な問題であり、いつまでも放置するわけにはいかない。裁判を理由に対策を棚上げする判断は疑問が残る。

 音楽・芸術ホールに代わる新ホール建設の取り組みも遅れている。

 15年3月末で市文化センターが閉館して以降、「イベントなどの会場が確保できない」との声が、多くの関係者から聞かれる。市民にとって、良好な音楽や芸術などに親しめる場が必要なことは言うまでもない。早急に手を打ってほしい。

 遠藤氏は新ホールの総事業費を巡って、新町西地区再開発事業で計上されていた市の負担額156億円を上回ることはないという考えを示している。

 前市長の進めようとした計画を「高過ぎる」と批判してきた経緯から、事業費を低く抑えたいのだろう。

 ただ、事業費にこだわるあまり、中途半端な施設になっては本末転倒である。

 市は、24日に開いた「新ホール建設候補地検討会議」で候補地3カ所での新ホール自体の建設費の目安を「70億~90億円」と示した。

 事業費偏重ではなく、施設の規模や在り方なども含めて、どのようなホールを目指すのか。基本的な構想を示すべきだ。

 遠藤市政になって進み始めた事業もある。ごみ処理施設整備事業では、共に進める小松島市など5市町と3月に施設の運営方法、費用負担を明記した協定を結んだ。

 市は今後、施設の規模など具体的な計画をまとめて地元の理解を求めていく方針だ。反対団体も設立されており、丁寧な説明で地元合意を図る姿勢が求められる。

 遠藤氏は、県都を預かるトップとしての強い決意を持って難題解決に当たってもらいたい。