学校法人「森友学園」が、小学校用地として大阪府豊中市の国有地を破格の値段で取得した問題を巡り、新たな事実が浮上した。
国有地の交渉過程で籠池泰典前理事長と面会した財務省の担当者が、「特例」と繰り返し発言していた。
近畿財務局が、払い下げを受けるための手続きについて指南する書類を、学園側に示していたことも分かった。
小学校の名誉校長に安倍昭恵首相夫人が一時就任し、夫人付の政府職員が、国有地に絡む籠池氏の要望を財務省に照会した経緯もある。
払い下げの過程には不透明な点が多い。政府は国民が納得できる説明を尽くさなければならない。
「特例」発言は昨年3月、学園側が定期借地契約で借りていた国有地の地中からごみが出たため、籠池氏が財務省に担当者を訪ね、ごみの撤去などについて話し合った際にあった。担当者は理財局の国有財産審理室長とみられ、前年に夫人付職員が照会したのも、この室長だった。
共同通信が入手した音声記録によると、担当者は「貸し付けするってことが特例だったもので」「管理処分は財務局の権限だが、特例的なものはわれわれにも相談できますんで」と配慮をにじませた。
籠池氏はこの中で、担当者に「昭恵夫人から聞いてもらったことがあると思う」と述べている。
学園側は面会の9日後に国有地の購入を申し入れ、3カ月後の昨年6月に、評価額の14%の約1億3400万円で取得する売買契約を結んだ。
「特例」扱いで事が運んだのは、忖度(そんたく)があったためなのか。背景には、何か特別な事情があるのではないか。疑念は膨らむばかりだ。
近畿財務局が学園側に示した書類も、別添資料や「ひな型」まで用意する入念なものだった。財務省は「慣れていない相手に分かりやすく説明することはある」と言うが、これも納得できない。
財務省は、面会の内容を記録した行政文書は残っていないとする。一連の交渉記録も売買契約の締結で事案が終了したので廃棄したという。
だが、会計検査院は、分割払いの支払いが完了しておらず、公文書管理法の趣旨に照らして不適切だった可能性があるとの見解を示している。
都合の悪い記録を捨てて、隠蔽(いんぺい)を図ったのではないかと見られても仕方あるまい。
籠池氏は民進党のヒアリングで、小学校建設に関して昭恵氏が「主人に伝えます。何かすることはありますか」と述べたと証言し、「ある時期から土地についてスピーディーに動いたのではないかと思う」と話した。
昭恵氏から100万円の寄付を受け取ったとする問題も、真偽は未解明だ。
国会は徹底的に真相を究明すべきである。政府、与党は早く幕引きしたいようだが、謎を残したまま終わらせるわけにはいかない。
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