小学校教諭の約3割、中学校教諭の6割近くが「過労死ライン」を上回る時間外労働をしていた―。

 文部科学省が先月公表した2016年度の公立校教員の調査で、そんな実態が明らかになった。

 教員の時間外勤務については、生徒の実習、学校行事、職員会議、非常災害など「超勤4項目」に限って命じることができるとしているが、この結果を見れば、形骸化していると言わざるを得ない。

 教員の厳しい労働環境はかねて指摘されてきた問題だが、改善できていない。

 今回の結果を踏まえ、松野博一文科相が中教審に働き方改革の検討を求める方針を示したのは当然だろう。教員の定数増を含め、国や自治体はしっかりと知恵を絞らなければならない。

 勤務時間は、06年度の前回調査に比べて増えた。押し上げた要因は、学習指導要領の改定による授業時間や部活動・クラブ活動にかける時間が増えたことだ。

 見過ごせないのは、土日1日当たりの学校内勤務時間である。平均で小学校が1時間7分、中学校で3時間22分だったが、中学校では1時間49分も増えた。部活動・クラブ活動が大きな要因で、負担の重さを改めて裏付けた形だ。

 部活動を巡っては、スポーツ庁が休養日設定のガイドライン策定を進めている。文科省も外部人材を「部活動支援員」として学校職員に位置付け、指導や大会への引率が可能となるよう制度を改めるなどの取り組みを行っている。

 教員の負担を軽減していくためには、地域や外部人材との協力強化など、あらゆる手だてを講じることが大事だ。

 国際比較を見ても、勤務時間の長さは看過できない。経済協力開発機構(OECD)が12~13年に34カ国・地域の中学校教員を対象に実施した調査で、1週間の平均が38・3時間だったのに対し、日本は53・9時間だった。

 学習指導が中心の海外の国々と異なり、日本では生徒指導や部活動、学校運営に関する事務作業も教員の仕事になっているからだという。

 教員の役割は肥大化、複雑化している。土日には、持ち帰り業務にも当たる。学力向上のための補習が増え、きめ細かい保護者対応が求められるほか、アクティブラーニングなどの課題ものしかかる。

 一方で、教職員給与特別措置法(給特法)への批判も根強い。公立学校の教員は、学校行事や夏休みなどで勤務時間が一定にならないため、あらかじめ本給の4%が教職調整額として上乗せされ、残業代は支払われないという特殊な制度が適用されている。

 だが、制度の発足当時に比べ、時間外労働は格段に増えている。これが長時間労働を助長する要因ともされる。

 教員の心身の健康が損なわれるようなことになれば、教育の質の向上は望めまい。学校任せ、教員任せの風潮を変えていく必要がある。