地方自治に関する基本的なルールを定めた地方自治法が施行70年を迎えた。

 国と自治体の関係や、都道府県と市町村の組織や運営に関するルールを規定。首長と議員を選ぶ「二元代表制」を基本とし、戦前の中央集権的な仕組みを転換させた。

 法の施行とともに、戦後自治の歩みは始まった。だが、現在、東京一極集中の是正は進まず、都市と地方の自治体間格差が広がるなど、ひずみが見られる。住民が主役の地方自治が岐路に立つ中で、あるべき姿をしっかりと考えなければならない。

 総人口が減少に転じ、自治体そのものの存続も危惧される状況で、懸念されるのは、二元代表制が揺らいでいることだ。

 離島を除いて人口が全国最少の高知県大川村が、村議会を廃止して18歳以上の村民による「村民総会」で、予算案や条例案を直接審議する方法を視野に入れている―とのニュースには驚かされた。

 定数は6で、2015年の村議選では6人が無投票当選した。村は、議員のなり手が不足する可能性を見据えて、村民総会を選択肢の一つとみているが、人口は約400人で、今後も減少は避けられそうにない。

 本県でも、なり手不足が顕在化しており、近い将来、同様の事態が生じても不思議ではない。村の議論の行方を注視したい。

 見過ごせないのは、首長と議会の距離が縮まり、ほぼ一体化している例があることだ。全国市議会議長会が790市の15年度当初予算を調べたところ、市長の原案を修正せず可決した議会は766で約97%を占めるという。

 議会は審議や採決を通して行政運営をチェックする役割を果たせているのか。首長と議会は緊張関係を保ちながら、住民のニーズを施策に反映しなければならない。改めて肝に銘じる必要がある。

 この70年、地方自治法は高度経済成長や人口増など、社会の変化に対応してきた。

 都市部への人口集中を受けた56年の法改正で政令指定都市、94年には中核市の制度が創設された。99年に成立した地方分権一括法に伴う改正では、国の仕事を自治体に下請けさせる制度を廃止し、国と地方が「対等」とする分権改革を後押ししてきたという経緯がある。

 地方自治体の役割や責任は拡大し、重みが増している。

 一方、自治を支える住民の意識はどうか。政治不信などの要因もあるが、地方選の投票率は低迷し、参加意欲の後退も懸念されている。

 3年前、民間団体が約900の自治体を挙げ「将来消滅する可能性がある」との試算を公表した。本県など地方の自治体は、財政が厳しく、住民サービスの維持さえ危ぶまれているのが現状だ。

 私たちは、国任せ、行政任せではなく、地方自治の在り方にもっと関心を向けなければならない。