【京都・梅小路蒸気機関車館】

(2011年初夏取材)

レバーを引くと汽笛が鳴る…

「見てみぃ! お前の背より高い動輪があるぞ!」。京都・梅小路蒸気機関車館。野外展示の車輪の前で写真に収まった姫は、既にとほほ顔だ。先輩は「SLを見せてやる」と言った。彼の言葉は翻訳を要する。訳せば「わしはSLが見たい。付いてこい」になる。

機関車館のエントランスはシックな和風の木造建築。先を歩いていた先輩が突然振り返り、自慢げに「二条駅の駅舎を移築したんぞ」。ホラ、恒例の講釈だ。建物内にはSLの模型などが展示されているが、「それは後じゃ」と奥に進み、そのまま建物の外に出た。

扇状に広がる線路に、真っ黒なSLが行儀よく並んでいる。「扇形車庫じゃ。こんなに多くのSLが一度に見られるんはここだけぞ!」。ホラ、恒例の興奮状態だ。「よっしゃ、乗せてやる!」。エラそうに・・・。

敷地内をデモ走行するのは「スチーム号」。煙突から噴き出す煙が独特の臭いを漂わせている。乗り場には、遠足の園児が行列を作っていた。最前列に乗り込むと、勢いよく汽笛が鳴った。途端に、ビックリした子どもが泣き叫ぶ。歩くより少し速いスピードで、約10分ほどの乗車。先輩は「もっと迫力がほしいなあ」。またもエラそうに・・・。

建物内に戻った先輩、早速何かを見つけて「これじゃ」とニヤリ。指さす先に「投炭練習機」の5文字。姫の頭には「不吉」の2文字。「石炭をくべる練習用じゃ、お前も・・・」。姫に重労働は似合わないの! なんて言い訳は通用しないな、と覚悟したが、どうやら展示だけみたい。「できんのかぁ(泣)」。うなだれる先輩。姫は心の中でガッツポーズを決めた。

が、先輩にとっては”宝庫“の建物内。「ほな運転席じゃ」と、すぐに復活した。展示されている運転席は本物だが、大人の男性が入ると窮屈そう。「ブレーキを緩めながら加減弁を開く」。先輩の声に従って操作する。シュッシュッ・・・と、汽車が進む音がした。

あれ? 窮屈な運転席がさらに狭くなった? 横を見ると、さっきの園児の集団が乗り込んでくる。先輩はお構いなしに「汽笛を」と指示。知らないからね! レバーを引く。汽笛が鳴る。子どもが泣き叫ぶ・・・。姫のせいじゃないからね!

子どものパワーに圧倒されつつ、機関車館を出た。疲れた・・・。「嵐山にもSLの展示があるけど行く?」。楽しそうな先輩の言葉を翻訳しながら「駅弁は?」とつぶやいてみるけど、先輩の耳には届かない。とほほ・・・。(姫)

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