山村に多くの人たちが集い、交流する拠点が生まれるのはうれしいことだ。

 電子書籍取次大手「メディアドゥ」(東京)社長の藤田恭嗣(やすし)さんが、古里・木頭(現那賀町)の旧北川小学校校舎に、30万冊超の漫画本を集めた世界最大規模の漫画図書館を開設する準備を進める。旧校舎の活用例は全国的にあるが、その発想は大胆でユニークだ。藤田さんの思いを応援したい。

 図書館は、メディアドゥと取引のある大手出版社やプロダクションの協力を得て、手塚治虫や水木しげるなど国内外で知名度の高い巨匠の作品から最新の人気作品までそろえる。30万冊の蔵書があり、世界最大規模とされる京都国際マンガミュージアムを上回る規模にする。

 町と連携しながら、藤田さん個人の出資で事業に着手する方針という。「地域のシンボルとして世界中から多くの人が訪れる施設」とするのが目標で、完成は2018年度末を目指す。

 木頭を持続可能な地域に、どう育てていくか。思案してきた藤田さんは13年、ユズの加工品製造販売会社「黄金の村」を設立した。

 営業休止したままの町営施設「美那川キャンプ村」の再生にも乗り出す。イベント企画会社を設け、国内外に木頭の魅力を発信する事業も始める。

 藤田さんは「魅力を体感できるモノ(場所)やコト(イベント)をつくり、活性化につなげていきたい」と話す。地方創生の声が小さくなってきた感が否めない中で、こうした取り組みは徳島を勇気づけるだろう。