徳島市が2023年度の開館を目指す新ホールの建設予定地を、徳島駅西側のクレメント平面駐車場を中心とする土地に決めた。

 交通アクセスの利便性などから選んだという。

 新ホールは、遠藤彰良市長が白紙に戻した新町西地区再開発事業の音楽・芸術ホールに代わるものだ。

 2年前に市文化センターが閉館し、早期の整備を求める声は高まっている。予定地の決定により、実現へ一歩前進したと言えよう。

 紆余(うよ)曲折を経た計画である。市は本年度内にも基本構想案をまとめる方針だ。将来にわたって市民・県民に愛される、県都にふさわしいホールにしなければならない。

 建設地の選定に当たり、市は駅西と文化センター跡地、市立動物園跡地の3カ所を候補に挙げていた。

 有識者による検討会議から「駅西を優先的に検討するように」との提言を受け、遠藤市長ら市幹部の会議で正式に決定した。

 駅西のメリットは、何と言っても徳島駅と直結する交通の便の良さである。JRとバスの利用促進にもつながる。周辺には商業施設や飲食店、ホテルが多く、相乗効果も期待できるだろう。

 課題もある。一つは、JR四国や鳴門市などが土地を所有しており、用地交渉の期間や取得費が不確定なことだ。開館の遅れや事業費の高騰に留意しなければならない。

 JRの線路に隣接するため、高い遮音性が求められる。現在のクレメント平面駐車場の代替施設をどうするかも問題となろう。

 予定地は決まったものの、肝心のホールの中身は未定のままだ。

 そもそも新ホール建設の動きは、本格的なホールが必要だという県民の切実な要望から始まった。音響や舞台装置を含め、できる限り質の高いものにすべきである。

 席数は、新町西の事業が「大ホール1530席、小ホール300席」とし、1990年代の動物園跡地の計画は「大ホール1800席、小ホール300席」だった。

 市は先月、候補地3カ所の建設費を試算した際、文化センター跡地で無理なく建設できる規模として「大ホール1500席、小ホール200席」を前提とした。

 駅西の面積は文化センター跡地よりも広い。1500席を最低ラインとし、より多くの席を確保できるようにしてほしい。

 規模や質を重視すれば、動物園跡地の方が優れている。今も跡地への建設を求める声は根強い。

 市はそれを踏まえ、市民の理解が得られるよう、しっかりとしたビジョンを打ち出す必要がある。

 徳島駅に直結する新ホールは、まさに県都の顔となる。市中心部のまちづくりは、県の重要な仕事でもある。県は市と協調し、強く後押ししてもらいたい。