国会で証人喚問を行い、真相を解明しなければ、国民は納得しないだろう。

 安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人加計(かけ)学園(岡山市)の獣医学部新設計画を巡って、文部科学省の前川喜平前事務次官が記者会見し、「総理の意向」などの記述のある記録文書が「確実に存在していた」と明言した。

 前川氏は、新設計画への国の対応に関して「人材需要への明確な見通しが示されず、薄弱な根拠の中で規制緩和が行われた。公正、公平であるべき行政の在り方がゆがめられた」とも述べた。

 菅義偉官房長官は、文書について、前川氏の説明を踏まえても「出所不明で信ぴょう性に欠ける」と強調した。

 だが、新設計画に携わった当時の事務方トップの証言である。重く受け止めるのが当然ではないのか。

 民進党など4野党は徹底追及する構えで、前川氏の証人喚問を求めたが、自民党は拒否した。事実関係の究明に後ろ向きな対応は理解できない。前川氏は、喚問があれば応じる意向を示している。

 加計学園が進めているのは、政府の国家戦略特区制度を活用して、愛媛県今治市に岡山理科大学の獣医学部を新設する計画だ。

 問題の文書は、昨年、文科省が、特区を担当する内閣府とのやりとりを記録したものとされる。内閣府側の発言として「官邸の最高レベルが言っている」「総理の意向」などと記されていた。

 会見で前川氏は「昨年9~10月、担当の専門教育課から事務次官室で報告、相談を受けた際に受け取った文書に間違いない。専門教育課で作成され、幹部の間で共有された文書だ」と説明した。

 さらに、「官邸の最高レベル」は、総理か官房長官のどちらかだと思ったと述べた。

 加計学園ありきだったのかとの問いには、「関係者の間で暗黙の共通理解としてあった」と話した。

 重大な発言であり、真偽の検証が欠かせない。

 前川氏は文書について「改めて調査すれば、存在が明らかになる」と指摘した。

 それでも、松野博一文科相は「文書の存在を再調査する必要はない」と言う。省内調査では「文書の存在は確認できなかった」としたが、パソコンの削除履歴を調べていない。不十分である。

 獣医学部の新設は52年ぶりとなる。これほど長い間、新設を認めなかった岩盤規制を加計学園が突破できた背景に、官邸の指示や官僚の忖度(そんたく)がなかったのかが、問われている。

 政府は、いずれも否定しているが、説得力に乏しい。

 野党は衆参予算委員会で、安倍首相が出席する集中審議を求めている。自民党は受け入れるべきだ。

 首相自らが国民に詳しく説明する必要がある。

 何が真実なのか分からないまま、うやむやに終わらせてはならない。