安倍晋三首相の在職日数が28日、第1次安倍政権(2006~07年)から通算で1981日に達し、小泉純一郎元首相を抜いて、戦後単独3位となった。

 12年12月の衆院選で勝って政権復帰し、第2次政権が発足して4年5カ月になる。国政選挙では4連勝するなど、低迷する野党を尻目に「安倍1強」の様相が際立つ。

 今、首相に求めたいのは、謙虚な政治姿勢と国民のコンセンサス(合意)を得る努力である。

 安倍政権は14年7月、憲法解釈を変更し、従来は認められなかった集団的自衛権の行使を容認した。

 15年9月には、集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法を成立させた。

 戦後日本の平和国家としての歩みを変えかねない政策転換である。国民の十分な理解を得たとは言い難く、憲法違反の疑いも拭えない。

 危惧されるのは、さらなる首相の独走である。自民党内で歯止めがかからない状況がいつまで続くのか。

 今月、首相は、戦争放棄や戦力不保持を定めた9条1、2項を維持した上で、自衛隊の存在を明記する文言を追加するよう提案。東京五輪・パラリンピックがある20年の改正憲法施行も目標に掲げた。

 自民党の憲法論議の積み重ねを軽視するような唐突な提案には、党内からも驚きの声が上がった。それでも、首相の指示を受け、党は年内に改憲案を取りまとめる構えだ。

 今国会では、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を設ける組織犯罪処罰法改正案の成立も急いでいる。

 首相の強気の政権運営の背景には、高水準で推移する内閣支持率がある。共同通信社の最新の全国電話世論調査でも55・4%を維持した。

 党内基盤が強く、長期政権も視野に入れているようだ。

 自民党は、連続「2期6年まで」だった総裁任期を「3期9年まで」に延長した。

 首相は18年9月に2期目の総裁任期を迎えるが、3選すれば19年8月に戦後1位の佐藤栄作氏(2798日)を、11月には歴代最長の桂太郎氏(2886日)も超える。

 しかし、18年末までに政権選択をかけた衆院選がある。

 国民は首相に慢心やおごりがないか、注視している。

 安倍政権の経済政策のアベノミクスは大企業に業績改善をもたらしたが、徳島など地方では効果を実感できない。

 東京一極集中の是正が進まず、地方の人口減少は深刻だ。地方創生を看板政策に掲げる安倍政権の本気度が問われる。

 財政再建や19年の消費税10%への増税、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応など内政外交の課題は山積している。

 党内で自由闊達(かったつ)に意見を出し合い、政府と一体で難題に対処するのが、政権政党のあるべき姿である。トップダウンではなく、国民の声を映す政治を望みたい。