「水都とくしま」は、街中をきれいな川が流れる徳島市の良さを表した言葉である。代表格は新町川だ。
今は自慢の川も、かつては臭くて汚くて、市民が背中を向けていた。
変わったのはNPO法人・新町川を守る会の功績が大きい。第53回徳島新聞賞の大賞に決まり、きょう贈呈式が行われる。
1990年の発足から、新町川や助任川などの清掃に励んできた。徳島市の観光の目玉になっている周遊船の運航を始めたのも守る会だ。頭が下がる取り組みである。
ごみをすくえばきれいになる。しかし、誰かがやらなければ何も変わらない。守る会が教えてくれたのは、その「誰か」になることの大切さだろう。
奨励賞に決まった徳島の盲導犬を育てる会も、地道な活動を続けてきた。
視覚障害者の目となる盲導犬を育成して貸与するとともに、各地に赴いて障害への理解を深める啓発に努めている。
2年前には、仲間の障害者と盲導犬がトラックにひかれる痛ましい事故が起きた。「バックする時は必ず警報音を鳴らしてほしい」。県条例の制定につながった切実な訴えを、私たちは忘れてはいけない。
特別賞は、徳島発のロックバンド・チャットモンチーに贈られる。デビュー以来、多くのファンの心をつかんできた活躍ぶりは徳島の誇りである。古里のイメージアップにも力を注いでくれている。
今後も徳島に希望や自信を与え続けてもらいたい。