また、英国で卑劣極まりないテロが起き、多数の死傷者が出た。
 
 ロンドン中心部のテムズ川に架かるロンドン橋をワゴン車が暴走して、通行人をはねた。車に乗っていた3人の男はその後、近くの食材市場のバーにいた客らを次々に刃物で襲撃した。
 
 市民を標的にした無差別テロなど言語道断である。
 
 警察は容疑者の3人を射殺。テロと断定し、詳しい動機などの解明を急いでいる。
 
 メイ首相は「イスラム過激思想に感化された者の犯行」との見方を示した。
 
 背後関係も含めて、事件の隠された構図を明らかにすることが大事である。次のテロの発生を許してはならない。
 
 ロンドンでは3月22日にも同様のテロが起き、5人が死亡している。
 
 男が車で、テムズ川にあるウェストミンスター橋の歩道を行く通行人をはねた後、国会議事堂を警備する警官を刃物で襲った。過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出したが、組織的背景は確認されていない。警察は、イスラム過激思想に影響を受けた犯行の可能性を示唆している。
 
 続く5月22日には、中部マンチェスターのコンサート会場で男が自爆し、8歳の少女を含む22人が死亡するテロが発生した。犯人はISの拠点となっているリビアから帰国した直後だった。
 
 懸念されるのは、さらなるテロの連鎖だ。一連の事件が英国内のイスラム過激主義者らテロ予備軍を刺激し、模倣犯を生む恐れもある。
 
 というのも、英国では52人が死亡した2005年の同時爆破テロ以来、大規模なテロが起きていなかったからだ。
 
 それが、わずか2カ月半で3回のテロに見舞われたのだから、政府が受けた衝撃は計り知れない。
 
 しかも、5月の事件を受けて5段階の最高レベルに引き上げていたテロ警戒度を、つい数日前に1段階引き下げたばかりだった。
 
 8日には総選挙が迫っているが、予定通り実施することを決めた。いかなるテロにも屈しない姿勢が大切である。メイ首相のテロ封じ込めに向けた決意が試される。
 
 車を使った暴走テロは、予測や防御が難しいとされる。
 
 それだけに、欧州で車によるテロが頻発していることは大きな脅威である。
 
 16年7月には、フランスのニースでトラックが群衆に突っ込んで86人が死亡した。ISが犯行声明を出している。
 
 今年に入っても4月、スウェーデンのストックホルムの繁華街でトラックが群衆に突っ込み、5人が死亡した。警察によると、逮捕されたウズベキスタン人の男はISなど過激派組織に共感していた。
 
 テロは、いつ国境を越えて広がるか分からない。
 
 わが国も、英国など国際社会と情報交換を密にして、テロの芽を摘む手だてを講じなければならない。