天皇陛下の退位を実現する特例法案が衆院を通過した。 民進党の主張を踏まえて「女性宮家の創設等」が検討対象として明記された付帯決議も採択された。
 
 近い将来、女性皇族が結婚によって次々に皇籍(皇族の身分)を離れることが予想されており、皇室の先細りが懸念される状況である。
 
 公務の担い手を確保する観点からも、「女性宮家」創設の議論は避けて通れない。
 
 だが、付帯決議では、検討の開始時期が「法施行後速やかに」とあいまいな表現になっており、検討結果を国会に報告する期限も明示されていない。
 
 特例法の施行日は退位の日であり、政府は2018年12月などを想定している。
 
 民進党は衆院の審議で政府に、女性宮家の検討結果の国会報告は、法案成立後1年を目途とするよう求めた。
 
 皇族の減少対策は喫緊の課題である。できるだけ早く検討を始め、国民的な議論を喚起すべきだ。
 
 付帯決議に法的拘束力はないが、「女性宮家」の文言が明記された意味は大きい。
 
 秋篠宮家の長女眞子さまが結婚して民間人になり、残る6人の未婚の女性皇族が結婚した場合も考慮する必要があろう。天皇陛下の孫の世代で皇室を支えるのが、秋篠宮家の長男悠仁さまだけになる可能性がある。
 
 そうなれば、公務の負担の重さは計り知れない。
 
 女性宮家の創設が認められると、女性皇族は一般男性と結婚しても皇族にとどまり、独立した宮家の当主になることができる。公務を含め、皇室活動を安定的に維持するためには有力な方策だ。
 
 さらに、女性に皇位継承権が認められれば、皇位継承の安定化にも役立つ。
 
 一方、自民党内には、これまでの歴史を踏まえ、男系による皇統の維持を重視する声が根強くある。安倍晋三首相も一貫して、女性宮家には慎重な立場である。
 
 歴代天皇のうち、女性天皇は8人いたが、父方に天皇がいない女系天皇は皆無だ。
 
 仮に、女性宮家ができれば、女性皇族と一般男性との間に生まれた子どもは、性別を問わず「女系」となる。将来、男系男子による継承が困難になった場合には、女性宮家から女系天皇が誕生する可能性が現実味を帯びる。
 
 保守派が、女性宮家の創設が女系天皇容認につながると懸念するのは、このためだ。
 
 付帯決議に「女性宮家の創設等」とあるのは、戦後に皇籍を離脱した「旧宮家(旧皇族)」の復帰が「等」に含まれるとする国会見解の考え方を引き継いだものだ。男系による皇統維持を重視する保守派への配慮がうかがえる。
 
 安定した皇位継承の在り方を探るためには、あらゆる選択肢を、慎重に比較検討する必要がある。
 
 その上で、国民の理解が得られる結論を導き出すことが大切である。