2020年度から、現行の大学入試センター試験を衣替えして始まる「大学入学共通テスト(仮称)」の実施方針案が明らかになった。
 
 英語を民間の検定試験に移行し、国語と数学で記述式問題を導入するのが特徴だ。
 
 共通1次試験からセンター試験になった1989年度以来の大改革となる。
 
 知識偏重から思考力重視への転換を図るのが目的だ。政府の教育再生実行会議が2013年にセンター試験の見直しを提言し、中教審が答申し動きだした経緯がある。
 
 意見公募や関係団体の意見聴取を経て、今月中に正式決定される。学校現場への影響は大きい。公平性の確保や採点基準の明確化などの問題もあり、慎重に作業を進めなければならない。
 
 中でも、課題が多いのが英語である。「読む・聞く」に加え、「書く・話す」力を評価することを目的に、民間試験を活用するためだ。
 
 候補には、英検やTOEICなど10種類が挙がっており、大学入試センターが水準を満たしていると判断したものを「認定試験」に選ぶとしている。
 
 民間試験は、高校3年の4~12月に2回まで自ら選んだ試験を受けられる。試験会場数は試験によって異なり、最少で12カ所、最多で約1万7000カ所に上る。
 
 多様な試験を選べる都市部に対し、地方で受験できる試験は限られる。それだけに、受験機会の公平性という点で懸念がある。
 
 受験料も、3000円台から高いもので約2万5000円と開きがある。家庭の経済事情で受験機会が狭まらないよう、負担軽減策が欠かせない。
 
 学習指導要領との整合性を問う声もある。民間試験には留学やビジネスを目的にしたものもあり、評価の観点が異なることが考えられ、授業への影響も危惧される。
 
 英語については、20年度から民間試験に移行するA案と、23年度まで共通テストと検定試験の双方またはどちらかを受け、24年度から全面移行するB案を示し、今月中に一つに絞り込む。
 
 複雑な制度となれば、受験生に混乱を来すのを忘れてはならない。
 
 一方、国語と数学は、マークシート方式に加えて記述式問題を導入する。国語で80~120字、数学で数式などを書かせるものを、それぞれ3問程度を出題。採点は、1点刻みではなく数段階で評価するとしている。
 
 出題と採点はセンターが担うが、多数の答案を見る必要があり、民間業者も活用する。50万人規模の作業になるため、明確な基準が求められるのは言うまでもない。
 今後、共通テストは、19年度までにプレテストを3回行い、成績提供方法などを含む実施大綱をまとめる。
 
 真の改革を実現させるためには、一つ一つの課題を見直し、しっかりとした制度設計を進めることが重要である。