人口減少時代に、地方自治をどんな形で存続させるのか-。考える契機にしたい。
 
 高知県大川村で、有権者が予算などの議案を直接審議する「村総会」の設置問題が持ち上がっている。深刻な議員のなり手不足が要因である。
 
 和田知士(かずひと)村長は、議会の維持を前提とした上で、必要に応じて村総会の検討を本格化させる考えを明らかにした。
 
 大川村議6人の平均年齢は70歳を超えている。次回村議選では立候補者が足らず、再選挙になる恐れがある。村総会はその混乱を回避するための一案だ。 だが、村長が「総会になる可能性はゼロパーセントでなくてはならない」と語ったように、現実的な選択肢とは言い難い。
 
 過去に村総会が設置されたのは1950年代で、東京都の離島・八丈小島の旧宇津木村の1例のみだ。人口は66人だった。
 
 一方、大川村は約400人で65歳以上が約45%を占める。
 
 地方自治法に基づき議会の定めを準用すれば、総会には有権者の半数以上が出席する必要がある。
 
 総務省は、成立に必要な出席者数の引き下げを検討するが、多数の民意を反映するものにできるだろうか。村民の意見が割れて収拾がつかない事態も懸念される。日程調整も難しい。
 
 大川村には学ぶことが多い。村総会の設置は最終的な手段であり、機動性のある議会の維持を優先するのは当然だ。
 
 徳島県内でも、議員のなり手不足を解消する方策が検討されている。政治参加しやすい仕組みをつくらなければならない。