英下院総選挙でメイ首相率いる与党保守党が苦戦し、過半数割れを起こした。

 第1党の座は維持しており、友好関係にある北アイルランドの地域政党、民主統一党(DUP)の協力を得て政権を維持する構えだ。
 
 欧州連合(EU)からの完全離脱を目指すメイ氏が求心力を失ったことで、その影響が心配される。
 
 あえて総選挙を前倒ししたのは、離脱交渉の基盤強化が狙いだった。大勝を見込んでいただけに大きな誤算である。
 
 予想外の結果を招いた責任はメイ氏自身にある。選挙公約で高齢者の在宅介護の自己負担額引き上げを示したことが、支持層から反発を受けた。慌てて公約を修正したため、迷走という批判も浴びた。
 
 英国内で3月以降、3回のテロが相次いだことも響いたようだ。メイ氏が内相時代に行った警察官の削減が、野党の格好の攻撃材料になった。
 
 これまで、メイ氏はEU離脱を巡って、移民規制を優先して欧州単一市場に残らない「完全離脱」を掲げてきたが、修正を余儀なくされる可能性もある。
 
 原則2年間の交渉期間で合意をまとめるだけの強い指導力を失ったからだ。連携を目指すDUPもメイ氏の強硬な方針に反対する姿勢を示している。
 
 メイ氏が強気を押し通せば、政局は不安定になり、離脱交渉の決裂を招きかねない。
 
 欧州に混乱を引き起こさないためにも、柔軟な姿勢が求められよう。