不安や疑問が拭えない法律を強引に成立させ、都合が悪い問題は幕引きを急ぐ。国民が怒りを募らせるのは当然だろう。
 
 共同通信社が行った全国電話世論調査で、安倍内閣の支持率が44・9%と、前回の5月調査から10・5ポイント急落した。不支持率は43・1%で、8・8ポイント上昇した。
 
 政権や与党からは「謙虚に受け止めたい」といった発言が相次いだが、外交・経済の成果や内閣改造で回復させるとの声も聞こえてくる。
 
 だが、小手先のイメージ対策で国民の目をそらせようとするなら、楽観的過ぎよう。

 求められるのは、数の力に頼る姿勢を改め、「1強」から来るおごりをなくすことである。
 
 安倍内閣の支持率が40%台になったのは、2016年4月以来だ。下落幅は、特定秘密保護法を強行採決で成立させた13年12月の際の10・3ポイントを上回り、第2次内閣以降で2番目の大きさである。

 とりわけ不信感を強めたのは、安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡る問題だ。
 
 世論調査では、行政がゆがめられたことはないとの政府側の説明に73・8%が「納得できない」とし、真相が明らかになったと思わない人は84・9%に達した。
 
 「総理の意向」などと記された文書が文部科学省内で見つかり、首相の側近が、加計学園しか応募できないように新設条件を修正した疑いも浮上した。政府がいくら正当性を主張しても、納得を得られるはずがない。
 
 自民党支持層でも、真相が明らかになったと思わない人が76・7%もいる。前文科事務次官の証人喚問を含め、与党は閉会中審査に応じて真相の究明に努めるべきだ。
 
 もう一つの問題が、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法を成立させたことである。
 
 調査では、参院法務委員会の採決を省略した与党の手法に67・7%が「よくなかった」と回答し、政府の監視が強まると思う人が50・7%と過半数に上った。
 
 これまで安倍内閣は「強行採決」と批判されるのを避けようと、野党の一部を取り込むなどしてきた。ところが今回は「禁じ手」を使い、あからさまな強硬手段に出た。
 
 早く国会を閉じ、加計学園問題の追及をかわしたかったのだろうが、民主主義を否定するやり方は許されない。
 
 内閣を支持しない人のうち「首相が信頼できないため」と答えた人が41・9%もいた。4月の25・0%から5月は37・4%と上昇傾向だ。
 
 支持率が一時的に下がっても、しばらくすれば回復すると高をくくる政権の体質が見えてきたのが要因だろう。
 
 強引な国会運営を繰り返し、疑惑の解明に誠実さを欠いたままでは、信頼は到底回復すまい。国民を甘く見てはいけない。