学校法人「森友学園」に、大阪地検特捜部の強制捜査のメスが入った。

 特捜部は、詐欺と補助金適正化法違反の疑いで、大阪府内の学園事務所や籠池泰典前理事長の自宅など関係先の家宅捜索を行った。

 一連の疑惑で、刑事事件として強制捜査するのは初めてだ。全容解明が急務である。

 特捜部は5月、学園が運営する大阪市の塚本幼稚園を巡って、籠池氏が府の補助金約6200万円を詐取したとする詐欺容疑の告訴を受理していた。

 調査した府は、2011~16年度に塚本幼稚園に支給された経常費補助金のうち、教員が専任の場合のみ支給される人件費約3440万円を不正受給とした。勤務や給与の支払い実態がないケースが確認されている。

 障害などで特別な支援が必要な「要支援児」の受け入れ補助金についても、11~15年度分の2744万円で不正があったとした。約20人が支援を受けておらず、申請書類にも疑義があったという。

 事実とすれば、由々しき問題である。

 旧国有地で開校を目指していた小学校校舎の建設でも、籠池氏は国の補助金約5600万円を不正に受け取ったとする補助金適正化法違反の疑いが持たれている。

 特捜部の家宅捜索が始まったのは、安倍晋三首相の記者会見が終わった直後だった。

 籠池氏は家宅捜索を「国策捜査だ」と批判した。だが、証拠を収集し容疑を固めるために、強制捜査を行うのは不自然とは言えまい。

 疑惑の発端となったのは、旧国有地が約8億円も値引きされていた事実が発覚したことだ。

 検察は、不当に安い国有地売却で国に損害を与えたとする財務省近畿財務局担当者への背任容疑の告発も受理している。捜査を尽くし、核心に迫ってもらいたい。

 籠池氏だけを追及して、疑惑に幕を引くことがあれば、国民の納得は得られまい。

 旧国有地の値引きに関しては、安倍昭恵首相夫人や国側の関与が国会で焦点となったが、詳しい経緯は分からないままである。

 野党が昭恵氏の証人喚問を求めたのに対し、与党は拒否し続けている。

 共同通信社の最新の全国電話世論調査では、安倍首相に対する国民の厳しい見方が浮き彫りになった。

 首相の友人が理事長を務める加計(かけ)学園の問題や、森友学園への国有地払い下げを巡って、安倍政権に「問題があると思う」としたのが57・1%だったのに対し「思わない」は33・2%だった。

 首相は会見で、国会答弁に関して反省の弁を述べたが、何よりも国民に対する説明責任を果たすべきだ。

 昭恵氏の関与や首相側に対する財務省の忖度(そんたく)はなかったのか。旧国有地売却の疑問を、うやむやに終わらせることはできない。