安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡る疑惑は、膨らむばかりだ。
 
 通常国会閉会後、首相官邸側の働き掛けがあったとされる新たな文書が文部科学省で見つかった。
 
 真相解明を求める民進、共産、自由、社民の野党4党は臨時国会を速やかに開くべきだとして、国会召集の要求書を衆参両院に提出した。

 憲法53条は臨時国会について衆参両院議員のいずれか4分の1以上が求めた場合、政府に召集の義務が生じると規定している。

 安倍政権は早期召集に否定的な見解を示しているが、直ちに応じなければならない。

 新文書は、萩生田光一官房副長官が獣医学部の開学期限などについて、文科省に伝えたとされるものだ。これが事実なら、圧力をかけたことになる。

 真相が究明されなければ、国民の不信感は募る一方だ。政府に、それを払拭(ふっしょく)しようという意欲が見られないのはどうしたことか。

 安倍首相は19日の記者会見で「指摘があればその都度、真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と明言した。言葉通りの対応が求められる。

 公明党の山口那津男代表はこの問題に関し、衆院予算委員会などの閉会中審査開催を検討するよう要請した。「政府は調査を尽くし、説明責任を果たしていただきたい」と述べたのはもっともだ。

 こうした声さえも無視すれば、安倍政権への信頼はさらに揺らごう。

 今回、公表された文書は、萩生田氏が昨年10月21日に文科省幹部に発言した内容を取りまとめたとされ、「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」などとの記載があった。

 萩生田氏は発言を否定しているが、落選中には学園傘下の大学で客員教授を務め、自身のブログに首相、学園理事長との写真を掲載していた。公の場で自らしっかりと説明を尽くす必要がある。

 新文書について文科省が萩生田氏の記憶を優先し、「正確性を欠く」と結論付けたのにも疑問が残る。

 「総理の意向」などと記された文書に、一定の信頼性を認めた対応とは大きく異なる。前川喜平前文科事務次官の発言などとも符合するのに、その検証を進めないでいいのか。

 きのう告示された東京都議選でも、与野党の攻防が繰り広げられている。加計学園を巡る問題や、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法の採決強行など、安倍政権の国会運営も厳しく問われよう。

 「1強」の緩みやおごりがあるのではないか。時間がたてば、批判も逆風もやがて収まると考えているなら、見当違いである。

 安倍首相は共同通信社の全国電話世論調査で内閣支持率が急落したのを、改めて重く受け止めるべきだ。