わずか1日で疑惑が解明できるのか。不十分なのは明らかである。

 自民、民進両党は、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、10日に衆参両院で閉会中審査を実施することで合意した。

 首相官邸が加計問題に関与したと主張している前川喜平前文部科学事務次官を、参考人として招致する。

 政府は、加計問題に対して国民の厳しい目が注がれていることを忘れてはならない。

 閉会中審査について、安倍晋三首相は通常国会閉会後の記者会見で「国会の閉会、開会にかかわらず、丁寧に説明していきたい」と表明した。しかし、東京都議選への影響を懸念し、安倍政権として応じてこなかった。

 ここに来て、民進党など野党の要求を受け入れたのは、都議選で自民党が歴史的な惨敗を喫したからだろう。

 加計問題への対応が強い反発を招き、方針転換を迫られた形だが、閉会中審査だけで事が済むわけではない。

 見過ごせないのは、閉会中審査を、外遊中で首相が出席できない日にしたことだ。

 首相は説明を尽くすつもりがないのか。これで幕引きを図ろうとするなら、逆風はさらに強まるだろう。

 公明党幹部からさえ「内閣支持率急落や都議選惨敗は首相への不信感が原因だ。気遣いから首相を隠すのは良くない」との声が漏れている。言行不一致のままでは、失った信頼は取り戻せまい。

 閉会中審査で野党は、首相側近の萩生田光一官房副長官と文科省幹部とのやりとりをまとめたとされる新文書の内容などについて、厳しく追及する構えだ。

 官邸側の働き掛けはあったのか、記載内容の真偽はどうなのか。前川前文科次官の発言も踏まえて、究明しなければならない。

 さらに、加計側が自民党の下村博文幹事長代行への献金を取りまとめていた問題も表面化した。

 下村氏の説明はとても納得できるものではなく、疑問は残ったままだ。

 都議選の応援で、稲田朋美防衛相が自衛隊の政治利用とも受け取れる失言をしたことも尾を引いている。

 閣僚としての自覚と資質に欠けた人をいつまで、その任にとどまらせるのか。首相の任命責任が問われる。

 一連の問題は、首相をはじめ、本人を抜きにして真相を解明するのは無理がある。その場しのぎのような対応を続ければ、不信感を増幅させるだけだろう。

 首相は、内閣改造と党役員人事の早期実施を検討しているようだが、目先を変えようとする狙いが透けて見える。

 求められるのは、一つ一つの問題に誠実に対応していくことである。

 自民党は首相が出席する予算委員会の集中審議に応じるべきだ。早期に臨時国会を開いて、説明責任をしっかりと果たさなければならない。