中国地方から九州北部にかけて大雨が降り、福岡、大分両県を中心に河川の氾濫や土砂崩れなどが相次いでいる。引き続き厳重に警戒しなければならない。

 気象庁は数十年に1度の甚大な被害の恐れがあるとして、両県の広い範囲で大雨特別警報を出し、「最大級の警戒」を求めた。

 福岡県朝倉市では、観測史上最大の545・5ミリの24時間雨量を記録した。住宅が浸水し、道路が寸断され、一帯には流木が散乱している。豪雨で亡くなったとみられる男性の遺体も発見された。

 大分県日田市でも、土砂崩れ現場で消防団の男性が見つかり、死亡した。JR九州久大線の鉄橋が流されるなど、交通機関への影響も大きい。

 孤立状態となった住民もおり、自衛隊や消防、警察などが救助活動に当たっている。

 安否が分からない人たちのことが気掛かりである。ほかに災害に巻き込まれた人はいないか、確認を急ぎたい。

 子どもやお年寄りも抱えた被災者は不安だろう。行政の手厚い支援が欠かせない。

 今回の大雨は、前線の動きに伴って、積乱雲が帯になった「線状降水帯」が、九州北部に停滞したのが原因だ。

 線状降水帯は、長時間ほぼ同じ場所を通過または停滞するため、注意が必要である。

 2015年9月の関東・東北豪雨は、茨城県で鬼怒川の堤防が決壊するなど東日本に大水害をもたらした。この時は、少なくとも10個の線状降水帯ができたとされる。

 徳島県でも、たびたび豪雨災害が起きている。

 14年夏には、台風による豪雨で那賀川が増水。那賀町や阿南市加茂谷地区では、民家や特別養護老人ホーム、加茂谷中学校の校舎など、大規模な浸水被害が出た。

 04年夏の台風豪雨も、すさまじい爪痕を残した。那賀町の旧木沢村では土石流などが発生し、2人が亡くなった。

 梅雨末期の大雨が懸念される時期である。県市町村や消防団、自主防災組織は災害への備えを強めてほしい。

 今回、九州などを襲った豪雨でも、災害弱者であるお年寄りの安否が心配された。

 豪雨の際には、早めの避難が、被害の拡大を防ぐ道である。地域の避難経路が確保されているか、1人暮らしのお年寄りらを支援・誘導する態勢は整っているか、しっかりと確認しておきたい。

 徳島県や国土交通省四国地方整備局などは5月、豪雨災害を想定した情報伝達演習を行った。県は、市町村に避難情報を迅速に発信してもらうため、首長に速やかに情報を伝えて被害を防ぐ構えだ。

 公的機関と地域住民が連携を密にして、災害に対処することが大切である。

 ただ、予期しない災害では行政による「公助」が間に合わないこともよくある。

 日ごろから、隣近所と手を携えて、「自助」「共助」の力を養い、地域の防災力を高めていきたい。