2015年の「子どもの貧困率」が、過去最悪だった12年の前回調査より2・4ポイント減の13・9%に低下した。厚生労働省が3年ごとに実施している調査で、世帯の所得格差を表す貧困率が改善したのは12年ぶりである。

 政府が強調するように、アベノミクスによる景気回復が子育て世帯の所得を押し上げた側面はあるだろう。15年の子育て世帯の平均所得が、12年より5・1%増の707万8千円になったとする厚労省の調査結果も出ている。

 とはいえ、数値が改善した15年時点でも「7人に1人」の子どもが、厳しい経済環境で暮らしている現実を忘れてはならない。

 景気頼みの対策では、格差是正への取り組みは力強さを欠く。政府は、危機感を持って経済財政運営に当たるとともに、一層の数値改善に向けた具体策を早期に打ち出さなければならない。

 中でも、きめ細かな実態把握と的確な支援が急がれるのが「ひとり親家庭」だ。

 大人一人で子どもを育てる世帯の貧困率は50%を超えており、先進国で突出して高い。厚労省の調査に「生活が苦しい」と答えた母子家庭は82・7%に上る。

 政府は先ごろ閣議決定した骨太方針で、働き方改革に続く看板として「人材投資」を掲げた。教育を通して格差の固定化をなくし、社会全体の生産性を高めていくのが狙いだろう。

 これを受けて厚労省は、生活保護世帯の子どもが大学や専門学校に進学できるよう、来年度から経済的な支援を行う方針だ。

 子どものいる生活保護世帯の7割強が「ひとり親家庭」であり、一般の家庭に比べて大学などへの進学率は半分に満たない。その実態を踏まえると、支援の底上げは待ったなしである。

 家庭の経済状況が教育格差を生み、それが将来の収入格差につながっていく。そうした「負の連鎖」を放置してはならない。

 厚労省は、生活保護に至らない低所得世帯とのバランスに配慮しつつ、効果的な方策を示してもらいたい。

 格差の固定化は、中長期にわたる税収減だけでなく、生活保護費など社会保障費の増加要因にもなる。「ひとり親家庭」への支援は、国民生活に関わる重要課題であることを改めて肝に銘じたい。

 現代の貧困には、子どもの外見だけでは見分けにくい難しさがある。このため「毎月お小遣いを渡す」「1年に1回程度は家族旅行をする」といった項目で子どもの生活実態をチェックする指標が設けられ、一部自治体が施策に生かし始めている。

 子どもの貧困問題には、息の長い支援体制が不可欠だ。国や自治体は「子どもがきちんと食事を取っているか」や「地域とのつながりは持てているか」など、多角的な視点から着実に取り組みを進めていく必要がある。