徳島市の阿波踊りを主催する阿波おどり実行委員会が、踊り運営の実務を今夏から委託する事業者を決めた。

 実行委は、26日に開かれた事業者を審査する選定委員会の結論を踏まえて審議し、決定した。

 8月12日から始まる阿波踊りに向けて、残された時間は限られている。事業者と十分に連携し、成功に導いてもらいたい。

 委託されるのはイベント企画大手のキョードー東京(東京)と同社グループのキョードーファクトリー、徳島で公共施設の管理運営などを手掛けているネオビエント(徳島市)の3社共同事業体だ。

 チケット販売、広告・協賛金の募集など阿波踊り関連の業務全般を担い、委託期間は5年間である。

 昨年夏は、人出が過去最少で、赤字になるなど低調に終わった。最終日に雨が降ったのに加え、徳島市などで構成していた実行委と、一部の有名連でつくる阿波おどり振興協会との対立が影を落としたのは否めない。

 「総踊り」を巡る混乱は全国の注目を集め、マイナスイメージにつながった。こうした問題を乗り越え、運営を正常化させることが大切だ。

 踊り事業の民間委託は、事業収支の責任を民間事業者に全て負ってもらうことを目的に、運営の課題を検証していた有識者会議が今年1月、実行委に提言した。

 収支面で心配されるのは、チケット料金や演舞場の数などがあらかじめ決められ、事業者の裁量がほとんどないことだ。

 収支に関係なく、毎年500万円の納付も義務付けられている。運営を担うハードルは高く、事業者募集に応じたのは、この共同事業体しかなかった。

 実行委の収支予測によると、今夏の踊りの事業規模は約3億円と想定している。チケット料金の値上げや踊り連からの参加費徴収、郊外駐車場と市中心部を結ぶシャトルバス利用料の値上げなどで収入を増やす一方、有名連に支払われていた出演料などの支出を減らし、事業の黒字化を目指すというものだ。

 チケット販売は、一昨年並みの販売率(85%)を維持できると見込んでおり、入場料収入は昨年夏より約4600万円多い2億1千万円としている。

 夏の本番まで4カ月余りしかない。踊り団体との調整をはじめ、取り組むべき課題は多く、準備を急ピッチで進めていく必要がある。事業者とともに、実行委の手腕にも期待したい。

 改元後初めてとなる阿波踊りである。より広く踊りの良さを知ってもらうためには、心を一つにして、新たな一歩を踏みだしていかなければならない。

 徳島新聞社も阿波踊りの発展に力を尽くしていく決意である。400年以上も連綿と続く伝統文化を、後世にしっかりと伝えていきたい。