稲田朋美防衛相に、大臣としての資質が問われる問題がまた明らかになった。
 
 南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報を廃棄したとしながら、陸上自衛隊が保管していたのを巡って、日報のデータを非公表にするとの方針を了承していたという。
 
 誤った方針を正すべき最高責任者としての自覚を著しく欠いていると言わざるを得ない。防衛相の辞任を求める声が強まるのも当然であり、稲田氏は説明を尽くさなければならない。
 
 複数の政府関係者によると、稲田氏が非公表を了承したとされるのは、2月15日、防衛省で開かれた緊急会議である。
 
 その席上、情報公開請求に対して「廃棄済み」とした日報が陸自に電子データで残されていたことについて、事実関係を公表するかどうか対応を協議した。
 
 陸自は1月17日、岡部俊哉陸上幕僚長に保管されていたことを報告し、公表の準備を始めた。しかし、陸自のデータは隊員個人が収集したもので、公文書に当たらないなどとして、「事実を公表する必要はない」との方針を決定。稲田氏は異議を唱えず、了承したとされる。
 
 さらに、非公表の方針を決めた緊急会議の2日前にも、陸自側から電子データが保管されていた事実などについて報告を受けていたという。
 
 防衛省・自衛隊の組織的隠(いん)蔽(ぺい)を容認した形であり、あってはならないことだ。国民を欺くものであり、到底見過ごすことはできない。
 
 憂慮すべきは、稲田氏がその後の国会で、一連の経緯の報告を受けていないとし「改めるべき隠蔽体質があれば私の責任で改善していきたい」と答弁していることだ。
 
 唯一の軍事的組織である自衛隊で隠蔽があり、大臣が虚偽の答弁をしたのなら、極めて深刻な事態である。
 
 稲田氏といえば、不適切な発言を繰り返し、与野党から問題視されてきた。
 
 3月には、大阪市の学校法人「森友学園」の原告代理人として出廷したことを示す裁判記録が判明し、国会答弁との矛盾を問う報道陣に「記憶にない」などと釈明したが、結局、答弁撤回と謝罪に追い込まれた。
 
 記憶に新しいのは、東京都議選での応援演説である。自民党候補の集会で「防衛省・自衛隊、防衛相、自民党としてもお願いしたい」と発言し、自衛隊の政治利用と批判を浴びた。
 
 それでもなお安倍晋三首相は続投を指示していた。閣僚としての資質に欠けた稲田氏を、その任にとどまらせていることには首をかしげざるを得ない。
 
 防衛省内からさえ「かばいきれない」という声が上がっている。
 
 安倍内閣の支持率は急落しているが、稲田氏への対応次第では国民の信頼をさらに失うことになる。