学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画を巡り、衆院予算委員会で閉会中審査が行われた。

 この中で安倍晋三首相は、加計学園が国家戦略特区制度に申請していたのを知ったのは、特区の諮問会議で計画が認定された今年1月20日だと述べた。

 学園の理事長は首相の親しい友人である。認定まで知らなかったというのは不自然ではないか。

 国民の目線で丁寧に説明すると話した首相だが、疑問が払拭(ふっしょく)されるどころか、むしろ膨らんだといえよう。

 きょうの参院予算委で説明を尽くすとともに、国会は理事長ら関係者の証人喚問を実施すべきだ。

 首相は、理事長について「彼が私の地位や立場を利用して、何かを成し遂げようとしたことはない」と強調。新設計画に関しても「具体的な話は一切なかった」とした。

 だが、首相は第2次安倍政権の発足以降、少なくとも理事長と14回会っている。このうち6回は昨年7月から12月にかけてで、飲食やゴルフを共にしたという。新設計画が進んだ時期と重なる。

 加計学園の計画は、愛媛県と今治市が2007年から計15回、構造改革特区に申請して認められなかった懸案事項だ。なのに、理事長は一度も言わなかったのだろうか。

 首相は、ゴルフ代について「全て私が払っている」と述べたが、食事代は自身と先方それぞれあるとし、「何か頼まれてごちそうされたことはない」と歯切れが悪かった。

 国家公務員倫理規程は、利害関係者から供応接待を受けたり、一緒にゴルフをしたりすることを禁じている。職務の公正さを保つためだ。行政のトップである首相は、自らをより厳しく律しなければならない。

 接待などはなかったのか。一方の当事者である理事長からの説明を聞かなければ、国民の納得は得られまい。

 和泉洋人首相補佐官の証言も注目された。新設手続きを促した際、「総理の口から言えないから、私が代わりに言う」と発言したと、前川喜平・前文部科学事務次官に指摘された人だ。

 これに対して、和泉氏は「記憶にないし、言っていない」と否定した。

 今治市の職員が首相官邸を訪ねた際、面会したとされる当時の首相秘書官の柳瀬唯夫経済産業審議官も「会ったという記憶はない」と述べた。面会が事実なら異例の対応であり、加計学園を特別扱いしていたことになる。

 予想されたとはいえ、今回も「記憶にない」が連発されたのは残念だ。水掛け論に終わらせないためにも、偽証すれば罪に問われる証人喚問が必要である。

 この日は、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題はほとんど取り上げられなかった。参院委でしっかりと議論しなければならない。