徳島県北部を東西に走る中央構造線の活断層帯を震源とする地震の被害想定を、県が公表した。震度7をはじめ、強く揺れる地域が吉野川北岸の人口密集地に集中し、犠牲者は3440人に上る。その83%は建物の倒壊が原因だ。
 
 板野、鳴門、藍住の3市町では建物の7割超が全半壊する。建物の耐震化をしっかりと進める必要がある。
 
 1995年の阪神大震災では、6434人に上る犠牲者のうち、住宅倒壊による圧死が8割を占めた。以来、耐震化への注目が集まったが、補強の自己負担が課題となり、改善の動きは鈍い。
 
 徳島でも県の補助に市町村が上乗せしたり、寝室など一部だけの補強を補助対象に加えたりと、負担軽減を図ってきた。しかし、決め手に欠くのか、耐震化率は2008年度の72%から13年度は77%と、5年で5ポイントの伸びにとどまった。県は20年度に100%にする目標を掲げるが、達成は厳しい見通しだ。住民の耐震化への意識を粘り強く高めていかなければならない。
 
 日本列島には約2千の活断層があるとされる。16年10月に鳥取県中部で起きた震度6弱の地震は、未知の活断層が動いたとみられる。把握が困難なリスクの上に私たちは暮らしている。
 
 中央構造線の真上にも民家はあるし、物流を支える高速道が走る。明日動くのか、100年後なのか分からないが着実な対策が求められる。
 
 徳島県は活断層付近での建物建築を規制する条例を12年12月に制定した。他に先駆けた取り組みだ。
 
 活断層の周辺を幅40メートルにわたって「特定活断層調査区域」に指定。区域内に一定規模以上の公共施設や病院、ホテルなどを建築する際は県への届け出や活断層調査が必要になる。活断層の真上だった場合、県は建築の中止を指導する。
 
 既存の公共施設も条例の趣旨に沿い、池田高校三好校が調査区域にかかる校舎を使わないようにしたり、阿波市の温泉宿泊施設が運営を取りやめたりするなど、危険を回避する動きが出ている。
 
 今回の被害想定では、板野郡などで避難所の収容人数を上回る避難者が出ると指摘された。市町村は必要な避難所の確保を急ぐべきだが、県内では6月に新たな取り組みも生まれた。
 
 自治体の枠を超えた連携だ。津波被害が想定される美波町由岐湾内地区の住民を、阿南市福井町の避難所に受け入れる協定を両市町が結んだ。こうした流れを県内全域に広げたい。
 
 家具の固定や震度5強以上の揺れで自動的に電気を遮断する「感震ブレーカー」の設置など、すぐにでもできることはある。対応が遅れがちな中小企業への支援も重要だ。
 
 6月以降、大分、長野、北海道、熊本、鹿児島と5回、震度5以上の地震があった。災害は身近にある。日頃の備えが減災の鍵を握る。