民進党の蓮舫代表が辞意を表明した。東京都議選の敗北後、党内の求心力を回復できなかったのが要因のようだ。辞任はやむを得ないだろう。
加計(かけ)学園問題や南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報隠蔽(いんぺい)問題で、安倍政権の信頼が問われる中、野党第1党である民進党が果たすべき責任と役割は大きい。
早急に新代表を選び、政権のおごりをたださなければならない。これ以上の混迷は許されない。
蓮舫氏は会見で「いったん引いて、より強い民進党を新たな執行部に率いてもらうのが最善の策だと考えた。都議選を通じて自身の足らざる部分に気付いた」と述べた。
これまで蓮舫氏は「新世代の民進党をつくりたい」として続投に意欲を見せていた。だが、党内では都議選後、執行部への批判がやまず、離党の動きを見せる議員も後を絶たない。厳しい声も踏まえて進退を決断したようだ。
先に野田佳彦幹事長も辞任の意向を示している。党の求心力を回復し、立て直すためには、執行部の刷新は避けて通れなかったのではないか。
都議選では告示前の7議席を割り込み、旧民主党時代を含めて過去最低の5議席に終わった。小池百合子知事が率いた都民ファーストの会に押されたことだけが、敗北の要因とは言えない。
昨年9月に代表に就任した蓮舫氏は、高い知名度から選挙の顔として期待されたが、旧民主党政権時代の「負のイメージ」から、脱却することができなかった。
蓮舫氏自身の「二重国籍」問題も尾を引いた。党の都議選総括会合でも「国籍問題をクリアにしない限り支持者に聞く耳を持ってもらえない」との訴えが相次ぎ、蓮舫氏は戸籍公表に踏み切らざるを得なかったほどだ。
地域別の「ブロック会議」では、解党や分党を求める声も出た。民進党議員は、党が危機的状況に直面していることをよく認識すべきだ。
最近の世論調査では、加計問題などの影響で安倍内閣の支持率が急落しているのに、民進党の支持率はそう変わらない。それがなぜなのか、考えなければならない。
2012年12月の政権転落後、民進党は低迷が続いている。原因の一つが党内対立だろう。憲法改正という国の根幹に関わる問題でも路線の違いが大きく、国民には分かりにくい。結束して与党への対立軸を打ち出すべきである。
今、政治の潮目は変わりつつある。仙台市長選では、民進党など野党が支援した前民進党衆院議員の新人が、与党が支持する候補らを破った。
この勢いを、10月の衆院愛媛3区補欠選挙にも生かしたいところだろう。
新代表は、政権交代の受け皿となる党へと脱皮を図る責務を負う。指導力や野党共闘など政治手腕はもちろん、国民の支持を広げられる人材を選ばなければ、党の存立が危ぶまれる。
トップニュース
Sports
スポーツ
Culture&LifeStyle
カルチャー&ライフスタイル