北朝鮮がまた、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した。今月4日に続いて2回目である。
 
 国連で核兵器禁止条約が採択され、多くの国が核のない世界へ一歩を踏み出そうとしている今、その流れと逆行する無謀な行いに強い憤りを覚える。
 
 懸念されるのは、北朝鮮の技術の進展が予想以上に早いことだ。射程は前回を大きく上回り、通常の軌道で発射した場合、米中西部のシカゴに届く1万キロ超に及ぶ可能性があるという。
 
 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は、誇らしげに能力の向上を強調したが、自らを破滅の道に追い込んでいるのが分からないのだろうか。これ以上、愚行を繰り返すことは許されない。
 
 度重なる発射に、米国は軍事的な対抗措置も選択肢だとした。しかし、挑発に乗れば日本や韓国に多大の被害が及ぶのは必至だ。
 
 脅威が増しているからこそ冷静な対応が求められる。北朝鮮が核・ミサイル開発をやめるよう、国際社会が連携を強めなければならない。
 
 防衛省によると、ICBMは北朝鮮の北部から約千キロ飛び、北海道・奥尻島の北西約150キロの日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。高く打ち上げて飛距離を抑えるロフテッド軌道での発射は、前回と同様だ。
 
 北朝鮮は前回と同じ「火星14」の発射に成功したとし、高度、飛行時間とも過去最高、最長だとした。
 
 これまでと違うのは、事前に予測された場所からではなく、しかも深夜の発射だったことだ。いつでも、どこからでも打てる能力を米国に見せつけたかったのだろう。
 
 落下した水域は日本の漁場である。深夜でも発射されるとなれば、漁の安全はますます脅かされる。断じて容認できない。
 
 見過ごせないのは射程だけではない。北朝鮮は、大気圏への再突入後も弾頭の安定性を維持し、設定した水域に正確に着弾したと報じた。事実なら残る課題は核弾頭の小型化に絞られる。開発は最終段階に入ったといえよう。
 
 米国防情報局は、北朝鮮が来年にもICBMを実戦配備できるとの分析をまとめたとされる。開発をやめさせる時間的な余裕はあまりない。
 
 米国は、北朝鮮と関係がある中国企業への追加制裁に近く乗り出すが、効果は不透明だ。北朝鮮がミサイルの部品の国産化を進めているとの見方もあり、開発阻止は難しくなっている。
 
 北朝鮮の後ろ盾である中国も、石炭の輸入を停止するなど制裁に前向きだ。だが、今年上半期の対北朝鮮貿易額は10%も増えている。朝鮮半島の混乱は中国にも深刻な影響を及ぼす。さらなる制裁強化で圧力をかけてもらいたい。
 
 日本は米韓と共に包囲網を固めることが肝心だ。その上で、対話の道も粘り強く探るべきである。