用地の大幅な値引き、教育施設では補助金の不正取得の疑い-。一体、どんな経営が行われているのだろう。

 大阪地検特捜部が、国の補助金をだまし取った詐欺の疑いで、学校法人「森友学園」前理事長の籠池泰典容疑者と妻諄子容疑者を逮捕した。

 大阪府豊中市の国有地に開校を計画していた小学校の校舎を巡って、工事費を水増しした工事請負契約書を国側に提出し、約5600万円を詐取した疑いだ。

 金額が異なる3通の契約書のうち、最も高い約23億8千万円のものを提出した。特捜部は、正しいのは15億5千万円だったと判断している。

 国の補助金は、木造建築技術などの普及が目的だ。学園は3月に全額を返還したが、それで済むものではない。返還は、契約書の問題が発覚した後だった。

 特捜部は、学園が運営する幼稚園に大阪府や大阪市が出した補助金をだまし取ったとする詐欺容疑でも捜査中だ。

 これらの不正の疑いの根底に何があるのか。事件の全容解明が急がれる。

 籠池氏は逮捕前、「国策捜査」と批判してきたが、検察が疑惑に捜査のメスを入れるのは当然である。

 一方で、疑惑の核心が、国有地の値引き問題であることを忘れてはならない。
 学園は、国有地を土地評価額より8億円余りも安い1億3400万円で購入した。財務省近畿財務局は「地中のごみ撤去費を差し引いた」などとしている。

 特捜部は、国有地を不当に安く学園に売却し、国に損害を与えたとする近畿財務局担当者への背任容疑の告発も受理した。籠池夫妻の不正解明を突破口に、土地取引を巡る疑惑にも切り込んでもらいたい。捜査を尽くすことが大切である。

 値引き問題では、小学校の名誉校長に一時就任していた安倍昭恵首相夫人の関与や官僚の忖度(そんたく)の有無が、最大の焦点だ。昭恵夫人担当の政府職員が国有地に関して財務省に照会したことが、影響したのではとの見方もある。

 国会で財務省は「資料は破棄した」としており、真相は明らかになっていない。

 安倍晋三首相は全面的に関与を否定し、2月の衆院予算委員会では「私や妻、事務所が関わっていれば、首相も議員も辞める」と断言した。

 世論調査などの結果によると、多くの国民は、首相や昭恵夫人から納得のいく説明が得られていないと思っているようだ。

 野党は籠池夫妻の逮捕を受けて、値引き問題についても追及を強める方針で、昭恵氏の証人喚問も求める。

 安倍内閣の支持率が急落した要因の一つが、森友学園に関する疑惑である。首相は加計(かけ)学園問題でも批判を浴びて「真摯(しんし)に説明責任を果たしていく」と約束した。

 そうであれば、首相も昭恵氏も、国会の場で国民の疑問に丁寧に答えるべきだ。