含有成分 風合い左右

 柔らかな音を立て、乳白色の水が波を打つ。ちゃぷ、ちゃぷ、ちゃぷ。「簀桁(すけた)」と呼ばれる木枠を職人が器用に揺すると、竹ひごを編んだ底の部分とコウゾの繊維が絡み合い、薄い和紙の膜ができた。

リズミカルに簀桁を揺すり、均一な厚みの紙をすく職人=吉野川市山川町の阿波和紙伝統産業会館

 霊峰として知られる高越山の麓、吉野川市山川町を南北に流れる川田川の流域は、古くから紙すきが盛んで、明治期には約200戸が携わった「紙の里」だ。洋紙の普及で衰退したが、川田川の伏流水を使って阿波和紙伝統産業会館(同町川東)の職人が技を受け継いでいる。

 「紙の違いは水で決まる」。阿波手すき和紙の製造技法保持者として県に認定されている藤森洋一理事長(70)はこう話す。カルシウムやマグネシウムなど水に含まれる成分は地域によって微妙に異なり、すき方や紙の風合いに影響する。紙すきの実演で国内外を訪ねるたびに実感するという。

丈夫で加工しやすいのが特長の阿波和紙。高越山からしみ出す水の恵みによって生まれ、昔ながらの手法ですき続けられている。(写真と文・秋月悠=徳島新聞)

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 水の大切さに関心を持ってもらおうと、国が8月1日の「水の日」を定めて今年で40周年を迎える。染め物や漁、農業など暮らしに欠かせない水を題材に、徳島新聞を含む地方13紙が全国の現場を歩いた。

水の恵み~列島フォトリレー(2) 北海道足寄町「ラワンブキ」