昨年7月の参院選で「徳島・高知」「鳥取・島根」に初めて導入された合区は、さまざまな弊害を生んだ。
 
 歴史も風土も違う県境をまたいだ広大な選挙区は、有権者と候補者の距離を広げた。 制度の欠陥は低い投票率に象徴されている。合区は廃止すべきだ。各都道府県から参院議員を選出できるようにしてもらいたい。
 
 自民党の参院執行部は「合区」の解消に向けた報告書をまとめた。
 
 衆参両院議員の選挙について定めた憲法47条を改正し、参院の改選ごとに、各都道府県から最低1人を選出する規定を盛り込むのが柱だ。
 
 これなら、人口の少ない徳島県にも定数が配分される。
 
 しかし、2019年の次期参院選までに、国会が改憲案を発議し、国民投票で過半数の賛成を得て憲法を改正するのは容易ではあるまい。
 
 もともと合区は、「1票の格差」を巡る訴訟で、最高裁が13年参院選の最大格差4・77倍を「違憲状態」と判断したのを受けて導入された。
 
 緊急避難措置の意味合いが強く、格差是正は不十分だった。抜本改正は、改正公選法の付則に明記された約束事だが、そもそも、憲法改正が必要なのだろうか。
 
 憲法改正を目指す安倍晋三首相は、改正憲法を20年に施行する目標や、秋の臨時国会での自民党改憲案提示について「スケジュールありきではない」と述べた。内閣支持率の低下を受け、事実上の先送りを表明した形だ。
 
 公明党は、全国を11ブロックに分ける大選挙区制の導入を主張する。山口那津男代表は「47条を改正し、そこに都道府県を位置付けることは、全体の整合性の観点や都道府県の役割から言って適切とは言いがたい」と批判した。
 
 与党内がこのありさまなのだから、憲法改正の行方は見通せない。
 
 そこで注目したいのが、改憲を伴わない手法である。
 
 報告書では、次期参院選に間に合わない場合の暫定措置として、選挙区の定数是正などを検討するとした。
 
 定数是正は現実的な方策といえよう。もちろん、議員の数を増やすだけでは、「お手盛り」との批判は避けられない。国会議員が身を切る姿勢を示すのは当然だ。定数が増える分、1人当たりの議員報酬を削減するといった手法も考えられる。
 
 一方、民進党は合区の拡大を、共産党は比例代表を中心とする制度を、それぞれ求めている。選挙制度改革は各党の消長に極めて大きな影響を与えるだけに、調整の難航は必至だ。
 
 最高裁は年内にも、最大格差が3・08倍だった昨年7月の参院選を違憲だとして選挙無効を求めた訴訟で、統一判断を示す。
 
 国会の対応が改めて問われるが、党利党略を排さなければ合意の形成は難しい。地方の立場に配慮した着地点を見いだしてほしい。