原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場となり得る地域を示す「科学的特性マップ」を、経済産業省が公表した。

 核のごみをどこで、どう処分するかは、原発再稼働の是非にかかわらず避けて通れない問題だ。公表を契機に国民的議論を高める必要がある。

 マップは自然科学や技術的観点を基準に、日本地図を4色に塗り分けたものだ。火山や活断層が周囲になく、地層や地質が安定している地域を「好ましい」適地に分類し、このうち海岸近くを最適の候補地とした。

 その結果、適地は国土の7割弱と全都道府県に及び、最適も約3割に上った。

 徳島県には、沿岸8市町など計21市町村に適地があるとした。中央構造線断層帯の周辺を除くほぼ全域が「好ましい」とされた形だ。
 一見して違和感を抱くのは適地の多さである。

 本県を含む太平洋沿岸域で南海トラフ巨大地震の発生が懸念されるなど、日本は世界有数の地震・火山国だ。本当にこれほど適地があるのかどうか。

 経産省は、あくまで可能性のある地域だというが、機械的に火山や活断層を除いただけでは説得力に乏しい。

 核のごみは、原発の使用済み核燃料からウランなどを取り出す再処理で生じる廃液である。計画では、これをガラス固化体にし、地下300メートルより深い岩盤に埋める「地層処分」にする。埋設の期間は、放射線量が低くなる数万年から約10万年にも及ぶ。

 問題は、候補地をどう決めるかである。

 経産省は、自ら手を挙げる自治体を待つ一方、国からも複数の自治体に調査への協力を要請しながら、段階的に絞り込んでいくという。

 2007年には、海陽町に隣接する高知県東洋町が文献調査に全国で初めて応募したが、徳島県を巻き込んだ激しい反対運動に発展し、取り下げられた経緯がある。

 過疎や財政難の自治体の弱みにつけ込み、多額の交付金でつるような方法では、住民の理解は到底得られまい。

 政府は地層処分の安全性や必要性を、リスクを含めて国民に丁寧に説明しなければならない。広く議論の場を設けるなど、合意形成の方法も真剣に検討すべきだ。

 忘れてならないのは、原発が稼働する限り、核のごみが増え続けることである。

 使用済み核燃料は現在、全国の原発などに計約1・8万トンあり、貯蔵容量の7割に達している。

 政府はさらに多くの原発を再稼働させる方針だが、処分のめども立たないまま、これ以上、廃棄物を増やしていいはずがない。

 原発依存から脱原発へ、エネルギー政策を抜本的に見直し、核のごみの抑制にかじを切る。政府が最終処分場の候補地選定に本気で取り組むというのなら、そうした姿勢が欠かせない。