重さ1キロ 味も抜群

 ひんやり澄み切った水からすくい上げた魚体が、新緑のブナの森で輝く。宮城県のブランド魚として売り出し中の「伊達いわな」。思わずこれがイワナかと疑いたくなるほど、ずっしりと重く大きい。

仙台藩主にちなんで名付けられた「伊達いわな」。見栄えのする斑点と色合いが持ち味で、刺し身にすれば伊達な味がする=宮城県栗原市

 バイオ技術を駆使してつくり上げたスーパーイワナは成長が早く、2年で体長50センチ、重さ1キロにも育つ。味も抜群で、刺し身にすると「ヒラメに劣らない繊細さ」と評判を呼んでいる。

 養殖施設の一つ、宮城県栗原市の「数又養魚場」は栗駒山(1626メートル)の中腹にある。伏流水をたたえた池で約千匹が大切に育てられ悠々と泳ぎ回っている。

 「伊達いわなには、きれいな水が何より大切」と経営する数又貞男さん(65)。ふんだんに湧く水は夏も冬も温度が約9度と一定で、稚魚を優しく包む。

 父親の故一夫さんが全国に先駆けてイワナ養殖を成功させてから、もうすぐ半世紀。ブナの森の清らかな水は、飛び切りのごちそうをもたらした。(写真と文・佐藤将史=河北新報)

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